全国初の新型コロナウイルス患者の専用病院として3ヵ月にわたり受け入れを続けてきた大阪市立十三市民病院。
第二波の到来のさなか、27日、外来診療を再開しました。
【西口幸雄院長】
「長らくお待たせしました。十三市民病院外来を再開します。感染に対しては十分安心してお入り頂きたいと思います」
街の病院に、いつもの風景が戻ってきました。
外来診療の再開を待ちわびていた患者のひとり、笹倉和忠さん(79)。
【笹倉和忠さん】
「コロナの専門病院に指定されて、それから以降やから。久々です」
笹倉さんは20年以上前に大腸がんと診断され、大阪市内の病院で手術を受けたものの、その後、再発を繰り返しました。
一時は手遅れと診断されましたが、西口院長の手術を2回受け一命を取り留めました。
それ以降、20年にわたり西口院長が主治医です。
しかし今年4月、十三市民病院は大阪の医療崩壊防ぐために新型コロナの中等症患者専用となることが決まり、入院患者は全員、転院または退院。外来診療も取り止めとなりました。
――Q:専門病院になると聞いたときは?
【笹倉和忠さん】
「びっくりしましたよ。どないなんのかなと。主治医変わるとイチからでしょ。実際にお腹の中の状態わかっていただいているのは、西口院長。他の医師ではわからないから不安感ある」
そして、27日…。
【西口院長】
「長いことお待たせしましたね。3ヵ月待ってたね。どうですか、体調変わりなかったですか」
【笹倉さん】
「体調変わりないですね」
患者にとっても、地域に根差した医療を提供してきた病院にとっても、念願の外来診療の再開です。
しかし、目の前には心配なことも…。
十三市民病院が用意した病床約90床のうち、これまでの入院患者の数は多くて20人、1桁の日も長く続きました。
しかし7月中旬、外来診療の再開が決まってから再び入院患者が増加し始め、現在、過去最多の26人が入院しています。
西口院長は危機感を持ちながらも、「新型コロナ患者と一般の患者の治療の両立を目指す」と覚悟を決めています。
【西口院長】
「これからは日本全国どこの病院もそうだが、コロナの患者さんを診ないとけない。コロナの患者さんと一般の診療と併存していかないと。コロナと共存していく時代」
十三市民病院では、新型コロナ患者と一般患者のフロアと導線を完全に分けるとともに、配置される看護師も固定するなどして感染対策を徹底します。
【西口院長】
「再開するにあたっては、コロナの入院患者さんがいらっしゃるので、感染対策をより一層注意してやっていかないといけない。コロナの治療の得意な急性期の病院となったと思ってもらっていい」
新型コロナウイルスの脅威と戦いながら、地域医療もストップさせない…現場の緊張感はさらに高まっています。