いままさに旬を迎えているタコ!
実はこの夏、明石海峡の波に育まれたマダコがとってもお値打ちなんです。
【魚の棚商店街 鮮魚店の客】
「ちょとお安いかなと思う」
「今日は安いなと思って買った」
そして今注目を集めるタコの旨味を最大限に引き出す職人技とは!?
【薄田キャスター】
「おおおおおおお!!!!何この食感!」
夏の風物詩!明石ダコのイマに迫ります!!
【薄田キャスター】
「明石浦の港にやってきました!きょうはタコがどれくらい獲れているんでしょうか?」
タコ漁を終え、港に次々と漁船が帰ってきました。
【明石浦漁業協同組合 戎本裕明組合長】
「今日はようけ取れとる。明石のタコは足が強いから。ぐっと自分の体を持ち上げる」
この力強さこそ、明石のタコがおいしい証なんだそうです!!
【明石浦漁業協同組合 戎本裕明組合長】
「餌が豊富でエビやカニも食べて。潮も早いし、流れてないようにぐっと掴まなあかんから足が太くなる。噛み応えがあり、噛んでる間に味も出てくる」
今年の水揚げは好調!
さらにタコの流通に詳しい水産会社は…
【上田水産 上田康介社長】
「明石ダコは(去年より)3割くらい安いです。近年輸入ものっていうのはあまり下がることがないので、明石タコが少し今年価格が下がることによって、価格差っていうのはかなり縮まると思うんです」
去年は明石ダコと輸入ものでは2倍ほどの価格差があったそうですが、今年は…?
【上田水産 上田康介社長】
「値段の差でいうと、スーパーのパックでみると、グラム100円差以下ぐらいになるんじゃないかと思うんですけど。ここ数年手が届かないような値段になってたんで、今年は買いだと思います」
実はここ数年、不漁で危機に瀕していたという明石のタコ漁。
地元の商店街でも…
【松庄 松谷佳邦社長】
「去年とおととしが悪かったんですよ。去年はこのままタコが無くなってしまえへんかと。タコはもともと安いイメージがあるんですが、それが高いなという、高級感が出てもうた」
明石のマダコは、年間1000トンほど水揚げされ、日本一の漁獲量を誇っていましたが環境の変化と気候の影響で、2年前には約300トンにまで激減。
庶民の味として愛されてきたはずの明石ダコは高嶺の花となってしまったのです。
そこで!
【明石浦漁業協同組合 戎本裕明組合長】
「自分たちで今何ができるんやろうっていうので、タコなんかはエサとなる魚が減ってきとるんちゃうかっていうので、海の栄養を増やす活動も最近はある」
タコのエサとなる魚が育ちやすい栄養豊富な海にするため、漁船に器具を取り付け、海底に沈んだ栄養分を撹拌。
また、卵を持ったタコが獲れた時には漁協が買い取り、海に再放流するなどの対策も行いました。
こうした取り組みに明石市も資金面で協力しています。
【明石市農水産課 渡邊慎介係長】
「危機的状況やということで、ふるさと納税で産卵用のタコつぼを投入しています」
穴の中で産卵するタコの習性を生かして行ってきたタコつぼの設置。
2年前にはふるさと納税で資金を募り、例年の2500個に加えさらに4300個を追加で設置し、産卵の機会を増やしてきました。
さらに暖冬だったこともあって、今年はタコの漁獲量に復活の兆しが見えてきたのです。
【明石浦漁業協同組合 戎本裕明組合長】
「自然が相手やから悪い時もあったらいい時もあるっていうのを、この上と下のブレっていうのをできるだけ少ないように」
――Q:人間の手でもできることはある?
「そういうふうに思ってるんです。それを信じて今動いとる」
そんな中、創業70年の料理旅館では、今年から新たに名物のたこ料理をリーズナブルに楽しんでもらえるお弁当を始めました。
【人丸花壇 小谷謙介社長】
「(獲れる)量が少ないとどうしても質的な問題もあるんで。数がある程度確保できると良質なものをお客さんに出しやすくなった。飲食業はコロナの影響を非常に受けている業種。明石の飲食店も売り上げが下がっているところが多いと聞いているので、その中で明石ダコが明石の街を助けてくれるんじゃないかと思っています」
【薄田キャスター】
「おはようございます」
続いて訪ねたのは明石ダコを茹で続けて約100年の「金楠水産」。こちらの新たな取り組みがいま注目を集めています。
【薄田キャスター】
「茹であがり、本当にきれいですね。」
【金楠水産 4代目 樟陽介さん】
「生の部分を残す、いわゆるミディアムレアに仕上げたい。その茹で加減っていうのが、歯ごたえとかうま味が残っている」
長い歴史のなかでたどり着いた絶妙なゆで加減。筋肉質な明石ダコは時間をかけると固くなりすぎてしまうため、何度も時計を確認し、秒刻みで茹であげる匠の技。
「1ミリの芯」を残したミディアムレアがおいしさの秘訣なんだそうです。
【薄田キャスター】
「すごい弾力!」
【金楠水産 4代目 樟陽介さん】
「うちのタコはプリプリを超えたサクプリ」
【薄田キャスター】
「いただきま~す。おおおおおおお!!!!何この食感!ほんとにサクップリだ。噛むごとにうま味がジュワッジュワッって出てくる!」
【金楠水産 4代目 樟陽介さん】
「本当の茹でたてだからこその食感・うま味なんです」
【薄田キャスター】
「私タコの魅力再発見じゃなくて発見でした、今日。初めましてでしたこれはほんとに」
そんな茹でたての味を知ってもらいたいと、インターネットで販売を始めたのが職人が茹でたタコと、茹でる前のタコのセット。
※販売は終了しています
自宅で茹でたてを味わえるよう下処理は全て行い、これまで秘伝だった茹で方のレシピを同封しました。
販売開始から約3週間。売り上げは230万円以上にのぼっています。
【薄田キャスター】
「100年培った技術をオープンにすることに抵抗はなかった?」
【金楠水産 4代目 樟陽介さん】
「おいしいタコを茹でる技術をみんなに教えることによってその食卓にもっと笑顔が増えるのであれば、それが僕らの仕事。今回技術を出すことでみんなが喜んでくれるのなら出しましょうと」
【薄田キャスター】
「社長(3代目)からすんなりOKでた?」
【金楠水産 4代目 樟陽介さん】
「うん…うん……、ってなんかそんな感じ。ははは」