大阪の名店が閉店を決め、関西空港の国際線旅客数も99%減少するなど、新型コロナウイルスの影響で、大きな打撃を受けているニッポン経済。
【薄田ジュリアキャスター】
「厳しい状況を何とか乗り切ろうと、市民が一丸となって動き出そうとしている街。それがここ…兵庫県・姫路市です」
世界遺産にも認定され国内外から多くの観光客が訪れてきた「姫路城」のある姫路市。
ここでも観光業や飲食業を中心に大きな影響を受けました。
――Q:姫路市の飲食業界はどんな状況だったんでしょうか?
【姫路市産業振興課・宮﨑瑶さん】
「姫路市におきましても8割程度の飲食店で、5割以上の売り上げ減が起きておりまして、深刻な影響を受けています」
そんな姫路に賑わいを取り戻そうと立ち上がったのが2人の女性。
姫路市在住の長沼実侑紀さんと西﨑由美子さんです。
2人はとってもお得な企画を進めているんです!
【破格のプレミアム付き!超お得な飲食チケット】
IT関連会社を経営する傍ら地元情報を発信するネットニュースの編集長も務める長沼さん。
その人脈を見込まれ、姫路市からの依頼を受けてはじめたのが、なんと40%ものプレミアムがついた飲食店への先払いチケットプロジェクト。
【長沼さん】
「やっぱり姫路市がこれだけの額(約1憶2千万円)を出してくれたことによって、動きやすかったよね。ほんとに動きやすかったし、心強い」
専用ウェブサイトから、行きたいお店や応援したいお店を選んで、1000円のチケットを購入。
すると姫路市から40%分のプレミアムが上乗せされ、お店はその売り上げ1400円分の現金を今受け取ることができます。
一方、チケットを購入した消費者は来年1月末までにお店に行くことで、購入金額より40%お得になる仕組みです。
万が一、閉店してしまった場合には、返金されないというリスクもありますが、それでも姫路の飲食店を応援したいという申し込みが殺到しています。
――Q:ちなみにいま(全国から)どれくらいのお金が?
【飲食プロジェクト実行委員会代表・長沼実侑紀さん】
「7000万9000円ですね。驚いてますよ。ビックリした」
緊急事態宣言の中、さまざまな飲食店の弁当販売を支援してきた長沼さん。
その時のつながりも今回のプロジェクトに生かされています。
【長沼さん】
「飲食店さんのちょっとでもサポートになると思って、テイクアウトのHPを立ち上げたのと…既につながりっていうかツールがあったっていうところが一番大きいかな」
今年4月の開店予定を2か月延期し、6月1日にようやく開店できたという和食店では…
【和食店「ゆう希」松本伸也さん】
「長沼さんにその企画自体を教えていただいて…」
「現金が先に入ってくるっていうのは、今後この事業を続けていく上ですごい励みになるというか…」
【妻・裕美さん】
「みんなが大変な中で飲食店を応援してくださるっていうのは、本当にありがたいですね」
また創業30年以上を誇るフレンチレストランでは、さらにお得にしているそうで…
――Q:こちらではプラスアルファの?
【サンベルジュ メゾン 山上直也オーナー】
「サンヴェルジュ(メゾン)のチケットをご購入・選んで頂いたお礼と、ここまで商売を続けさせていただいた感謝と。10%だけですけど込めまして。姫路市の分と合わせると50%プレミアムになるようにご利用いただこうと思ってます。お客様、スタッフ、お付き合い様。みんなの協力なくして店は維持できない。それも込めて(追加で)10%」
現在では700を超える店舗がこのプロジェクトに参加。一丸となって復活への第一歩を踏み出しています。
――Q:このプロジェクトで収入は入ってくるんですか?
【飲食プロジェクト実行委員会代表・長沼実侑紀さん】
「今回は入ってこないんですよ、ボランティアでさせてもらってます」
「飲食店が元気になったら、美味しいものが食べられたらみんな元気になるような気がしますよね、それで頑張ってます」
そんな長沼さんと同じく、ボランティアで奮闘しているのが地元でウェディング会社を経営する西﨑さん。
長沼さんとは20年来の付き合いだといいます。
【長沼さん】
「西﨑さんも観光プロジェクトで動いてはるじゃない?」
【西﨑さん】
「“ハイブリッド姫路”っていう形で異業種の人が集まって、とにかく姫路の観光を活性化しよう、復活させようっていうプランなんです」
西崎さんたちが立ち上げたのは『地元で非日常を楽しむお姫様たび』と題し、地元からのお客さんをターゲットに姫路市内の4つの宿泊施設のスイートルームで、非日常をお得に味わってもらおうという企画。
【観光プロジェクト発起人・西﨑由美子さん】
「ほとんどのホテル、旅館、料亭。一般的に宴会場をもってらっしゃる会場と付き合いが長年あります。なんとかその人たちが生き残っていただかないとという思いで今回突き進んでいます」
――Q:ちなみにこのスイートルームに泊まるというプラン。価格的には?
「たぶん、ビックリされるような価格にしていただいてます。聞かれる方皆さんがへぇ~って!」
【泊まるっきゃナイト!スイートルームが価格崩壊】
早速、プロジェクトに参加する創業57年の老舗旅館「夢乃井」を訪ねてみると…
【夢乃井・飛田豊廣営業部長】
「まずこちらが寝室になります」
【薄田キャスター】
「うわぁ広いですね」
【夢乃井・飛田豊廣営業部長】
「ツインの寝室でございます」
寝室のとなりにリビング、そして12.5畳の和室に、客室露天風呂。
田園風景を目の前に、うたたねしたくなる癒しのスイートルーム。
さらに姫路和牛や鱧(はも)などの豪華懐石料理のおもてなしも!!
【夢乃井・飛田豊廣営業部長】
「通常1泊2食3万5350円。お一人様あたりですね。そちらが今回お一人様あたり1万9900円(税込)!…ギリギリの線です」
さらに、サイコロを振って、“宿泊料金半額”の目が出れば、なんと大人一人分が半額の一万円でスイートルームに泊まれるんです。
また、JR姫路駅の目の前にあり、去年3月にスイートルームをリニューアルをしたというホテル日航姫路では…
【ホテル日航姫路・山田篤支配人】
「こちらがスイートルームでございます。どうぞ」
【薄田キャスター】
「すごい!姫路の市街地がもう…広がって…あれが姫路城ですか!目の前に!」
【ホテル日航姫路・山田篤支配人】
「この姫路らしさを出すために、家具も全部低めに構成されてまして、視点が低くなってます」
広さ92.5平米の最上階スイートルーム。ガラス張りのバスルームからも、姫路城が一望できます。
【ホテル日航姫路・山田篤支配人】
「通常はこのお部屋18万円で販売していますが、日ごろ地元の関西のみなさまに還元したいという気持ちがございますので、2万5000円で、一部屋ご提供させていただきたいと思います」
【薄田キャスター】
「一部屋2万5000円!?一人2万5000円じゃなくて?」
【ホテル日航姫路・山田篤支配人】
「いえいえ、一部屋2万5000円、これ全体を」
9月末の宿泊分まで予約を受け付けていて、県をまたいだ移動の自粛要請が解除された今、県外からのお客さんも狙っていきたいということです。
ライバル同士が手を組み、同じテーマのプランを一緒にPRするというのは姫路では初めての取り組みです。
――Q:今まで手を携えるようなことがなかったところが力を合わせる感じ?
【観光プロジェクト発起人・西﨑由美子さん】
「そうですね。手を取り合って観光業を推し進めていくって言う形で今のところボランティアで突き進んでますけど、姫路市が良くなって潤っていけば…将来的に何かしらっていう期待はしています」
姫路市全体を巻き込むこの二大プロジェクトですが、西崎さんと長沼さんはさらにその先を思い描いています。
【長沼さん】
「西﨑さんとコラボを組んでまた違うプロジェクトを今動かせたらいいなって…」
【西﨑さん】
「姫路市って素通りの街、お城だけ見て」
【長沼さん】
「そうそうそう。それはよくいわれるやん!トイレ休憩(の街)って」
【西﨑さん】
「さらにまとめあげて、姫路の中で泊まっていただける、おいしい料理を食べていただけるっていう街になっていってほしいですよね」