5月、全国で初めて新型コロナウイルス患者専門の病院となった大阪市立十三市民病院では、22日から規模を拡大して一般病棟でも受け入れを始め、専門病院として本格的に稼働し始めました。
【看護師】(ナースコール越しに)
「〇〇さん。おはようございます。…返事がないですね」
【看護師】
「805号室の〇〇さんがナースコール出ない。ろれつ困難とかあるかもしれないですが、全然聞こえなかったので確認お願いします」
街の総合病院から新型コロナウイルス専門病院へと姿を変えた十三市民病院。
主に中等症の患者の治療を担っています。
これまでは結核患者用の病棟だけで受け入れを行っていましたが、一般病棟の改修が完了したため22日から規模を拡大して本格稼働しています。
新型コロナの専門病院になったきっかけはこの一言でした。
【大阪市・松井一郎市長】(4月14日)
「十三市民病院をコロナ専門病院としたい」
130人いたすべての入院患者には、約2週間かけて転院または退院してもらいました。
【十三市民病院 倉井修副院長】
「体調とかは特に変わりありません?変わりないですか」
薬の処方が必要な患者などには電話での再診察で対応を続けています。
入院している新型コロナの中等症の患者は容体は安定していますが、一気に症状が悪化する恐れがあるため油断できません。
もともと十三市民病院には感染症の専門医がいないため、現在は各診療科の医師が協力して交代で治療に携わっています。
大阪の新規感染者は減少傾向にありますが、再び感染が拡大することを想定して長期戦にも備えなければなりません。
神経をすり減らす日々の中、家に帰らず専用のホテルに宿泊しているスタッフもいます。
家族を感染させないためだけでなく、心無い差別や風評被害からも守らなくてはならないからです。
【十三市民病院 西口幸雄院長】
「ここで働いていることを周りの方が知っておられるんで、家になかなか帰れないとか。心身をすり減らして、使命だと思って皆やっている。一般の方も是非そういう偏見をなくしてもらって、温かい目で見て頂けたらうれしいなと思います」
今後は、十三市民病院への患者の集約が進むとみられさらに専門病院としての役割が増してきそうです。
――Q:今後怖いところは?
【十三市民病院 倉井修副院長】
「よく言われるように”第2波”とかね。まず対応を十分にしていくことがうちの病院の必要なことなん違うかなと思います。ある程度の数(感染者)は出てくるかなという気はします。今までの対応はうちの病院としては間違っていないので、それをそのまま続けていくというのがまず大事かなと思います」
社会が日常を取り戻しつつある一方で、医療従事者が戦い続けていることを忘れてはなりません。