緊急事態宣言の影響で、今ほとんどの学校では休校が続いていますが、この状況で子どもが家庭内で負う様々なリスクが高まっているとされます。
私たちは子どもたちの変化にどのように気付き、手を差し伸べることができるのでしょうか。
感染拡大の影響で…「子ども食堂」も休業に
朝早くからお弁当を作るのは、兵庫・尼崎市にある放課後カフェ「キッチンポノポノ」。普段は、十分に食事ができない子どもたちに食事を提供する「子ども食堂」です。
学校が休業している今、水曜日と金曜日の週2回は無料で弁当を提供。地域の子育て世帯にとってありがたい存在です。
【訪れた親子は…】
「お昼は給食を食べてくれてたら安心だったんですけど、それが今ないので。いろんなもの(食材)が入っているので助かります」
尼崎市では、食事を給食などに頼らなければいけない子どもの数が約3000人に上るということですが、新型コロナウイルスの影響で市内に35ヵ所ほどある「子ども食堂」のほとんどが休業に…
そこで尼崎市では、申請があった「子ども食堂」の運営団体に対し、10万円を上限とする初めての補助金制度を決定。この食堂も一度は休業しましたが、市の支援を頼りにして”持ち帰りの弁当作り”を始めました。
――Q:お母さんは?
【訪れた子どもたちは…】
「今はちょっと家で仕事してる。(お弁当は)家よりめっちゃおいしいです」
「お母さんが働いてて、お昼ご飯買いに来ました」
「野菜とか入ってて健康に良くて美味しいです」
【運営団体ポノポノプレイス代表・吹野加代さん】
「17日間やって、753食出ました。胃袋をつかむじゃないですけど、その中で子どもたちの環境とかが分かるようになってきてるっていうので、やっぱり人とのつながりは食べることからかなっていうのは思います」
休校で家に…子供たちの「現状把握」が難しい状況に
一方、新型コロナウイルスの感染が広がる中で、政府や専門家は「児童虐待のリスクが高まっている」としています。
大阪・門真市は貧困家庭の子どもたちを支援するため、3年前から「子どもの未来応援ネットワーク」という独自の取り組みを行っています。
【門真市の職員】
「お母さんがコロナで仕事減ったから、もうすぐ帰ってくるとか言って…」
【門真市の職員】
「玄関で話したんですけど、戸開けたら家の中、見えるでしょ。もう凄かった。子ども5人いるのと、お母さんも仕事でしんどいのと、経済的にはかなり厳しくなってるんかなって思いました」
門真市ではまず、約1300人のボランティアが「服装が季節外れ」「十分に食事をしていない」など、子どもに関して気付いた情報を、市の職員などで構成された「子どもの未来応援チーム」に報告します。
その後「応援チーム」は子どもの家庭状況を分析して、実際に家庭を訪ねるなどして対応に当たるのです。
行政だけではなく地域全体で児童虐待などを防ぎ支援に繋げるこの取り組み。しかし今、新型コロナウイルスによる休校措置や外出自粛などの影響で状況は大きく変わりました。
【門真市こども政策課・小西紀至さん】
「学校もないですし、保育園とか児童クラブも縮小して普段くる子が来ない状況になっているので、現状把握はしにくい」
これまでは毎月10件程度寄せられていた、子どものSOSの情報は”ゼロ”になりました。中には、比較的安定していた家庭で突然トラブルがあり、児童相談所が虐待やネグレクトなどを理由に行う「一時保護」にまで至る切迫したケースも。子どもが長時間家にいるなど家庭の環境変化がトラブルの引き金になったとみられます。
このような状況の中、出来るだけ早く虐待の芽を摘むために「応援チーム」はリスクのある家庭や関係機関に足を運び、情報収集を急いでいます。
(職員の打合せで)
「保育園と児童クラブ縮小してるんで」
「多分この週明けから縮小して、もしかしたら家にいるような状態になっている可能性があります」
――Q:今からどこに行かれるんですか?
「小学校訪問に今から行ってきます、2つ。心配な家庭の子の情報共有というか」
一方、感染リスクには配慮した上で、地域での見守りも引き続き欠かせないと話します。
【門真市こども政策課・小西紀至さん】
「(子どもに)挨拶をしてあげてもらいたいです。子どももこういう自粛の中でストレスたまっている中で声をかけることによって、困り感や情報を出すこともあるから、そういう面でお願いしたいです」
このような状況の時こそ、子どもの小さなSOSに、普段以上に耳を澄ませる必要があります。