大阪の枚方市や寝屋川市など、7つの市を主な営業エリアとする枚方信用金庫、「地域への貢献」を理念とする金融機関です。
緊急事態宣言に伴う外出の自粛要請…職員は、日々刻々と変換する地域の中小企業の経営状況を細かく把握する努力を続けています。
感染拡大で…信用金庫に「資金繰りの相談」
【枚方信金の職員】
「どうですか、お仕事の方は?」
【家具の田辺・友井雅己さん】
「コロナのせいで本当に悪いですよ。1人か2人来たらええとこですね。それもサッと見てサッと出て行く感じですね」
【枚方信金の職員】
「コロナの影響が出ていますけど、Passionさんは影響どうですか?」
【美容室Passion 吉田秀幸さん】
「(普段は)もっと賑わっているんですけど、きょうは少しキャンセルのお客さんも多くて。これからどうなっていくかわからないですけど。実際には少なくなってしまっていますね」
関西外国語大学など、数々の大学がある枚方市。
この美容室には毎年、春になれば、卒業式や入学式に向けて多くの客が訪れますが、今年は新型コロナウイルスの影響で売り上げが3割ほど落ちました。
新型コロナウイルスの感染拡大とともに、枚方信用金庫にも連日、資金繰りに関する相談が寄せられています。
【融資担当職員】
「一時的なコロナの影響による遅れということで、とりあえず6ヵ月、つなぎ資金ということで対応していってください」
地域の声から…「お金では解決できない問題」も
枚方信用金庫がまとめたアンケートでは、日を追うごとに「新型コロナウイルスの影響がある」と答える企業が増加、緊急の融資を求める割合も増え続けています。
いつまで続くか分からない緊急事態。
「地域の声」に耳を傾ければ傾けるほど、別の課題も見えてきました。
【デイサービスえみふる 岡本将希さん】
「備蓄のマスクはあるんですけれども、いつまで続くのかがちょっとわからないだけに、消耗品にはなりますので、不安に感じています」
この介護施設では、マスクや消毒液が調達できないという事態に…お金では解決できない問題が起きていました。
枚方信用金庫は今年3月、全国の信用金庫に対し”ある提案”をしました。
信用金庫のネットワーク生かし…「助け合い」を
【枚方信用金庫・吉野敬昌理事長】
「困っている人たちを助けるためには私どもの信用金庫のエリアで、大阪府下でいくら調達を依頼しても入ってこない。この環境で全国お願いすれば、多少は手当ていただけるところが出てくるんじゃないかなと」
全国には、255の信用金庫があります。
そしてそれぞれの信用金庫が取引をしている企業の数は、114万社にも上ります。
このネットワークを生かせば、ある地域で足りない商品や材料を、別の地域から取り寄せることができるようになると考えたのです。
いわゆる、「ビジネスマッチング」です。
情報は、信用金庫の職員だけが見ることができる、特別なホームページで公開されます。
このページでは、全国の企業が提供できる商品の情報などが日々更新されています。
【枚方信用金庫・松本吉章さん】
「全国の信用金庫の職員はやはり、取引先さんのことをよく知っているんですね。(需要と供給)両方の取引先とお取引があるので、安心してマッチングできるというのが他のサイトとは違うのかなと」
マスクの調達に困っていたデイサービス施設も、このビジネスマッチングを利用して、北陸にある信用金庫の取引先から調達することができました。
【デイサービスえみふる 岡本将希さん】
「ちょうどマスクが底をつきかけていたところなので非常に助かりました。なかった時の不安が今は全然なくなって、これがあるから何とかいけるかなと。心が全然違ってきますね」
【枚方信用金庫・吉野敬昌理事長】
「新型コロナウイルス感染症による厳しい環境の中、私どもも初めて経験する事態です。お互いに本当に助け合って助け合って、日本全国を一緒に盛り上げていこうと」
地域の事業を継続させるために…苦境の中でも、“強み”を生かした取り組みが続いています。