【60代男性】
「やっぱりものを育てるって面白いですね。なんかワクワクしますよね」
【80代女性】
「これからを楽しくしたいしこれが一番生きがいですよ」
赤ちゃんからシニアまで土いじりに夢中ですが、この畑、普通の畑とはちょっと違うんです。
【薄田ジュリアキャスター】
「大阪府箕面市の畑にきました。こちらでは、子供連れの家族からシニアの夫婦まで多くの方がわきあいあいと作業されているんですが、一体どなたの畑なんでしょうか?」
【40代女性】
「ここは地主さんの畑を、シェア畑として一区画借りてます」
【50代女性】
「シェア畑言うて、カーシェアリングと同じ感覚ですよね」
シェア畑やシェア農園という新たなサービスに今企業が続々と参入しています。
そのひとつ、東京のアグリメディアという会社は、関東や関西を中心に約100か所、使われなくなった畑などを、土地の所有者から借り受けて、野菜づくりを始めたいという希望者たちに貸し出しています。
利用者は現在2万人を超えています。
【アグリメディア 勝田学さん】
「フィットネスとかスクールに通う感じで、週1回体を動かしに行こうとか、野菜づくりを学びに行こう!みたいな形で気軽に来られる方が多いです」
【シェア農園は手ぶらで通える習い事!】
野菜を作るには、野菜の苗、土を耕すための道具、肥料や防虫剤など、最初に準備するものがたくさんあります。初心者なら野菜の作り方もイチから学ばなければなりませんが、シェア農園を利用すれば、道具などはすべて借りることができます。
さらに…
【薄田キャスター】
「こんにちは。今何されてるんですか?」
【50代の女性】
「ブロッコリーの収穫を、はい」
【薄田キャスター】
「ブロッコリー、これブロッコリーですか!?」
【50代の女性】
「茎ブロッコリー」
【薄田キャスター】
「茎ブロッコリー?」
【50代の男性】
「ここは教えてくれるんです。普通の貸し農園でしたら、土地だけを借りて、あと自分らで自由にするっていうことなのですけど、僕らみたいな素人は、逐一スタッフの人に聞いてできるんで、楽しいですね」
【50代の女性】
「いろんなことを教えてもらえるスタッフさん結構充実していて、教えてもらえてラッキー」
【シェア畑のアドバイザー】
「ここをね、ポキッと折れるはずやから、ちょっとやってみて。うん。手で折れるところがおいしいねん」
野菜づくりの経験豊富なスタッフが手取り足取り教えてくれるので、未経験の人でも安心です。3平方メートルの畝を、月々6400円で借りられるシェア農園。今後さらに広がりを見せそうなんです。
“畑の2022年問題”
畑の所有者は、「生産緑地法」という法律によって固定資産税の負担軽減などで優遇されてきました。
しかし、2022年に多くの畑でこの優遇措置の期限が切れるため、所有者の多くが一斉に農地を売り出す可能性があるのです。
シェア農園を展開する企業は、こうした畑を確保し、利用者を増やそうと考えています。
【薄田キャスター】
「大阪府門真市にあるショッピングモールに来ています。なんと、こちらの施設の屋上にはですね、ご覧下さい!大きな畑が広がっているんです」
【街中でも野菜を育てて食べることができます!】
門真市のショッピングモールの屋上に広がる「アオゾラ農園」。このシェア畑を運営しているのが金本信博さん。
【薄田キャスター】
「金本さんは農家の方ですか?」
【アオゾラ農園 金本信博さん】
「いえ、ちがいます、ちがいます。本業はこういう商業施設のリノベーション専門にやってます」
【薄田キャスター】
「格好は完全に農家さんですね、もう」
【アオゾラ農園 金本さん】
「そうですね」
このショッピングモールを建設する時、オーナーから「屋上で他とは違う面白いことをやりたい!」と相談され、金本さんは屋上でシェア農園を作ることを思いつきました。
最寄り駅から徒歩3分という“通いやすさ”と、ショッピングモールの屋上で野菜づくりという“意外性”が利用者に受けています。
【薄田キャスター】
「屋上でこういった農園っていうのは合うんですか?」
【アオゾラ農園 金本さん】
「日当たりがいいってことですね」
【薄田キャスター】
「そっか、遮るものが何一つない」
【アオゾラ農園 金本さん】
「そうですね」
【薄田キャスター】
「ショッピングモールだし、買い物ついでにという方も?」
【アオゾラ農園 金本さん】
「そうですね、コンクリートで覆ってまして、ですから、スニーカーなんかでも作業できますから安心ね」
日当たりが良好のため、野菜もぐんぐん育ちます。
ここでは、スーパーなどではあまりお目にかかれない珍しい野菜も作ることができます。その一つが…
【薄田キャスター】
「なんだこれは?かぶら?」
【アオゾラ農園 金本さん】
「これはビーツです」
【薄田キャスター】
「ビーツ!!ボルシチとかに入れる」
サラダやボルシチなどを鮮やかな赤色で彩ってくれるビーツ。栄養価が豊富に含まれているそうなんです。
【アオゾラ農園 金本さん】
「ビーツはですね、自分の健康のために。健康診断の結果をよくするために」
【薄田キャスター】
「そういう理由大事ですね」
そして、このアオゾラ農園では、とれたての野菜をすぐに調理して食べることもできるんです!
【薄田キャスター】
「いただきま〜す。ん!甘い!!野菜の甘みでここまで感じることってないですよね」
以前は野菜嫌いで、運動をすることもほとんどなかったという金本さん。シェア農園で野菜づくりを始めてから、ある大きな変化がー
【アオゾラ農園 金本さん】
「今はほんとに野菜が大好きになりました。そのおかげで、5年前まで私0.1トン体重がありまして」
【薄田キャスター】
「0.1トンということは100キロ・・・」
【アオゾラ農園 金本さん】
「そうですね。体重がいまはもう、平均体重には近づいておりますんで」
実は、水やりや草むしりなどの畑仕事は、ウォーキングのカロリー消費量に相当するともいわれています。運動しながらおいしい野菜も作れる、まさに一石二鳥ですよね。
一方、ほとんど身体を動かさない野菜づくりが登場しているんです!
【薄田キャスター】
「実は、屋内からでも、このようなタブレット端末やスマートフォンを使って遠隔で農作業ができるサービスがあるんです。その名もリモコン農園です」
リモコン農園の畑があるのは、関西テレビから70km以上も離れた大阪府岬町です。
利用者が、インターネットで水やりや草抜き、肥料の追加などを指示すると、現地のスタッフが指示通りに作業をしてくれるんです。野菜の成長を写真で確認することもできます。
【薄田キャスター】
「『あ!ちょっと伸びてる!』とか日に日に変化が楽しめるっていうのは、なんか自分が育ててる感覚になりますよね」
このシステムを作ったのは、NPO法人リライブの松尾匡さんです。
【NPO法人リライブ 松尾匡 理事長】
「本格的に農業されてる方からすると、「なんだこれ?」って、思われるかもしれないですけど、別の切り口で興味をもっていただくために、このリモコン農園のシステムを考えたんです」
高齢化が進む岬町では、農家も徐々に減っていて、農地の「13.8%」は使われていない休耕地になりました。
松尾さんのNPO法人はこの休耕地を所有者から無償で借りて、リモコン農園にし、地元に住む障害のある人をスタッフとして雇っています。
【リモコン農園のスタッフ】
「野菜つくるのが好きですね。最初から全部やっていくのが楽しいですね」
リモコン農園を通して、若者に雇用とやりがいを生み出しているのです。
【NPO法人リライブ 松尾匡 理事長】
「若い人がこの岬町に今、仕事だったり雇用っていうその機会がすごく少ないために、(岬町を)出ていかざるを得ない状況に今なっております。農業疲弊していますけども、その復活をみんな一緒になって、取り組んでいければなという風に思っています」
まちおこしにも一役買ってくれそうな「シェア農園」。その可能性は今後さらに広がりそうです。