北京オリンピックの女子ソフトボール。
2日間で3試合。たった1人で413球を投げ抜いた日本のエース。
あれから12年…今も日本のエースとして活躍する上野由岐子選手は
東京オリンピックで、再び金メダルをめざします。
入口には「鉄腕」の文字。チームの宿舎を訪ねると、ご丁寧に上野選手自ら出迎えに。
ということで、こちらも…
【服部】大阪からお土産を持って参りました。
【上野】えっ!ありがとうございます。これ知ってる!久世福の…好きなんです。
なかなか買いに行けないので、まとめて買って送ってもらうぐらい好きです。
めっちゃうれしいです!これ!
【服部】お土産、100点満点で何点ぐらいですか?
【上野】150点ぐらい(笑)
笑顔になってもらえたところで、
12年ぶりに迎えるオリンピックへの思いを聞いてみると、意外な答えが…
【上野】正直、もう一度オリンピックを迎えるなんて、考えてもいなかった。
周りの期待とは裏腹に、心がついてこなくて…できれば出たくない。
前向きな言葉を発しながら「やらなければいけない」というのを言い聞かせてた
【服部】見て頂きたい写真があるんですけども
※写真「2008年 北京五輪の優勝」
【上野】懐かしい!
【服部】今から12年前、金メダルについて聞かれた時におっしゃった言葉があって、
それが衝撃的な一言で。
【上野】えーっ、そんなこと考えて話しているイメージがないからなぁ。
メダルがすべてじゃないんですよね…世界一になりたくて頑張っていた感じだったんで
なんて言ったんだろう…
【服部】『たかが金メダル』とおっしゃったんです。
【上野】え~、いや…感覚としてはそんな感じですね。
なんで、そんなこと言っちゃったんだろうという感じですけど(笑)
とにかく世界一になりたいからこそ、世界一練習しないといけないと思っていた。
自分が寝ている間に、アメリカの選手が練習しているかと思うと、
ここで寝ている自分はアメリカに負けてしまうのではないかと不安ばかりで…
北京までの4年間が自分の中では最大級につらかったからこそ、
本気で東京オリンピックに出たいって、思っているのかどうか…
自分に対する不安と、いろんなものが葛藤してたし…
※写真「2012年 世界選手権 優勝」
※写真「2014年 世界選手権 優勝」
オリンピックの正式種目から外れたあとも、
上野選手は日本のエースとして、世界のトップで結果を残し続けてきました。
オリンピック競技に復活し、高まる周囲の期待とは裏腹に
葛藤を続ける上野選手を、去年あるアクシデントが襲いました。
※2019年4月27日 日本リーグ第2節
打球が直撃し、アゴを骨折…全治3ヶ月の大ケガでした。
【上野】ケガの写真は意外とあって…
身体にメスを入れることすら初めてだったので、記念じゃないですけど(笑)
その写真を見せてもらうと…
※写真「2019年5月 入院中の上野選手」
【服部】ピースされていますね…
【上野】本当、あご以外は元気で、入院生活がむしろ大変だった。じっとしてられなくて
実はこのケガについて、上野選手はこんな言葉を残しています。
『神様に怒られた』
【上野】北京までの本気度に比べたら、半分以下じゃ済まないぐらい気持ちが入っていなかった。
周りの期待に応えるには、自分がやらないといけないとわかっていても、
ふんぎれない自分がいた…もう一度あの辛いことができるのかという不安…
『お前、そろそろ本気でやれよ』と神様に本気で怒られているんだと、ケガで痛感した。
自分の中で思い当たることが多すぎて…
本気で金メダルをー
ケガから134日。
※2019年9月8日 リーグ戦の復帰登板
復活のマウンドで、上野選手は自身7度目となるノーヒットノーランを達成。
※2019年11月17日 2年ぶり12度目の日本一
去年11月には、東京オリンピック決勝の舞台と同じ、横浜スタジアムで
日本の頂点に立ちました。
【上野】こんなにやる気がある自分が久しぶりすぎて、自分でびっくりしているぐらいです。
世界各国の選手たちが金メダルしか見ていない中で、勝ち上がるのは容易ではない。
ただ、もう今はやるならちゃんとやりたいというか、後悔のないようにしたい。
最後に、上野選手にぜひとも聞いてみたいことが…
実は、東京オリンピックのソフトボール初戦、
7月22日は上野選手、38歳の誕生日なんです。
【上野】そうなんですよ…本当に神様嫌いと思って
こんなに注目されるのが嫌いだって言っているのに…
【服部】絶対にメディアは、それに向かって盛り上げますよ
【上野】ホントですよ。そこしか言われないっすもん…これもう絶対投げるやつじゃん(笑)