【薄田ジュリアキャスター】
「私は神戸市内のとあるチャペルにお邪魔しているんですが、驚かないで下さい、このチャペル実は…こんなにコンパクトな、移動式のチャペルなんです」
神戸市のウエディング会社が5年前から始めたのは、車で移動させるチャペルです。
【「ルーロット」代表 武智弘美さん】
「移動が困難な方にも、結婚式に参列して欲しいっていう理由と思い出の場所ですとか、お二人の記念の場所で、好きな場所で結婚式を挙げて欲しいという2つの理由から移動式にしました」
挙式プランは、約40万円から。一般的な結婚式に比べて、リーズナブルなところも魅力の一つのようです。この移動式チャペルでおととし、結婚式を挙げたというカップルは…
【渡邊涼太さん(28)】
「2人で舞子公園によく行っていたので明石海峡大橋もキレイに見えるので、そこを選びました」
【妻・瑠璃子さん(28)】
「パーティーをしているような感じ。私たち自身もだし周りの人たちもすごく喜んでくれた」
メガネの車両型店舗に、ファッション雑貨を全国で売り回るトラック。そして世界初という移動式のお化け屋敷など、ここ数年で次々と移動販売ビジネスが誕生しています。
その代名詞と言えば…
スーパーなどに行くことが難しい「買い物弱者」の家に訪問する移動スーパーの「とくし丸」です。
2012年の創業当時は2台しか走っていなかったのですが、今年の3月末には500台を突破する見込みで、全国で唯一、空白地帯だった沖縄でも走り出そうとしています。
買い物だけじゃない!利用者に寄り添った気配り
とくし丸は現在、全国121社のスーパーと提携し、実際に店頭で売られている商品を行く先々で販売しています。その利用者は7万人を超えました。
【とくし丸(近商ストア)販売員 吉本照美さん】
「これはキンメダイ。でもちょっと身が硬いかな」
【客】
「ほないらんわ」
【吉本さん】
「柔らかい方がええんやったら…」
自宅の目の前で手に取って商品を選ぶことができるのでお年寄りに大人気! ほかにも…
【吉本さん】
「これ開けとくな」
「手に力がないんでちょっと空けといてあげないと空けられない」
利用者に寄り添った販売員のきめ細かな気配りも好評です。
【吉本さん】
「作ってんこれ、家にある材料で」
【客】
「おいくらになります?」
【吉本さん】
「家にあった材料やからいらない」
困りごとなど個別の要望にも柔軟に対応してくれます。
【客】
「(家は)独りやから話し相手がいないから会った時ぐらいいろいろしゃべらな」
決まったコースを週2回ずつ回っているため、地域の見守り役としても一役買っているんです。
【吉本さん】
「ただモノを売りに来ているだけじゃなくて色んな意味で…ね、楽しいな?」
【客】
「月曜日来はるとか、木曜日も来はるとか待ちますね、時計見ながら」
とくし丸と提携することでスーパー側にメリットも。この店では去年10月、とくし丸を導入してから売り上げがアップしました。
ただ店で待つのではなく、ニーズがあるところに直接訪ねてサービスを提供する。これが実店舗にはない移動販売の最大の強みですよね。
この強みを生かして、いま注目されるのが…
【薄田キャスター】
「大阪・本町のオフィス街に来ています。ビルの一角をご覧ください、カレーを販売している車が停まっています。これも移動販売のビジネスですね」
大阪で徐々に増えつつある新たなランチサービス、それが「キッチンカー」です。
このお店で売られているのは、無農薬玄米をはじめ、こだわりの食材を使った「スパイスカレー」。お値段は800円。
【薄田キャスター】
「うん。本格的なスパイスカレーですね!おいしい!」
すでに東京では、オフィス街を中心に毎日200台近くのキッチンカーが出店。「店の混雑が嫌だ」「コンビニごはんに飽きた」と悩む“ランチ難民”と呼ばれる人たちから大きな支持を得ています。
【女性客】
「ここにできてからよく使っています。家がそこなんで手軽に利用しています」
【男性客】
「もう定番ですね、通いたくなる。値段は飲食店に入ると思ったらちょっと安いかなという感じ」
関西でキッチンカーブームの予感?誰もが得する“おいしい秘密”
利用者にとってうれしいのが、本格的な料理が安く食べられること。スパイスで味付けしたチキンに辛さと酸味のある2種類のソースをかけた「チキンオーバーライス」は700円。
そして、高級イタリアンのシェフが作るローストビーフごはんが850円。インド風の炊き込みごはん・ビリヤニも650円とどれも手頃な値段で味わえるんです。安さの秘密を調べてみると…
【薄田キャスター】
「キッチンカーを始めたい方向けの説明会がこちらのカフェで行われているそうなんですが、中を覗いてみると参加者の方がたくさんいらっしゃいます。男性だけでなく女性の姿も見られますね。」
キッチンカーの製造・販売を手掛ける会社が主催する開業セミナー。実際の車両も見学しながら運用のノウハウを学ぶことができると、いま大人気なんです。
【女性参加者】
「カフェを会社の中で任されていまして。将来的にはキッチンカーで二人のやりたいことをやれたらいいねって」
【男性参加者】
「1周年になんですけどイタリアンレストランをやっている。イベントも各種ありますんで広告がてら出店してよしんば利益も上げたろうと」
キッチンカーの大きなメリットが、実店舗を持つことに比べて、開業コストが圧倒的に安いこと。さらに、家賃・人件費などのコストも抑えられることから「利益を上げやすい」と注目されているんです!
【「フードトラックカンパニー」代表 浅葉郁男さん】
「飲食店だと初期費用が高いけどキッチンカーだと安くスタートすることができるということで実は飲食経験のない方もかなり参入しています」
実際、キッチンカーを始めた人は…
【去年11月からキッチンカーを始めた店主】
「キッチンカーの場合はすべてテイクアウトなのでその分のコストは省けるので安く提供できる」
また、キッチンカーは主にビルの空きスペースで出店しているため…
【ビルのオーナー会社】
「普段使われてなかった空地をトラックが止まることによっておいしい食事が提供できるということと、我々としても敷地利用の収入が入ってくる」
つまり、キッチンカービジネスは、お客さん、キッチンカー、そして空きスペースを持て余している人全員がお得という、ウィンウィンウィンの関係を生み出すことができるんです。
この仕組みに自治体も大注目。
神戸市は今年からキッチンカーを誘致して経済の活性化にどんな効果をもたらすのか、実験を始めるそうです。
神戸市と提携しながらキッチンカーに出店場所を提供する企業も関西での市場拡大を狙っています。
【「メロウ」取締役 増田寛人さん】
「関西でもキッチンカー・フードトラック文化が当たり前になるように関西ならではのインバウンドを対象としたキッチンカーだったりとか、そういったところも我々としては、しっかりと狙っていきたい」
多様なニーズに応える移動販売。サービスをする側もされる側もお互いにとってお得なビジネスが、これからの時代ますます広がっていくかもしれません。