激しい雨と風の中、ポーズを決めるモデルのみなさん。
とても過酷な環境で行われたファッションショーですが…
服は、しっかりとした作りで、インナーに水が染みてくることはありません。
アウトドアブランドのファッションショーかと思いきや…実は、この服、作業着メーカーが作ったものなんです。
2020年、ファッション業界のキーワードは、“作業着”なんですよ!
【建設業の60代男性】
「思わず並んで買ってしまった、アウターを。作業着にもったいないから、普段着ようかなと思って」
今、ファッション業界に、大きな変化が起きています。流行(はやり)の服が安く買えると人気だった「フォーエバー21」と、「アメリカンイーグル」が、相次いで日本市場から撤退。ファストファッション離れの波が、押し寄せているようなんです。
そんな中、今年、ファッション業界の台風の目となりそうなのが「作業着」。
普段着に作業服を着るの?職人が着るもの!男臭い!といったイメージがあるかもしれませんが・・・
【薄田ジュリアキャスター】
「作業服を販売しているお店なんですが、店内には女性客やファミリーのお客さんが目立ちますね。このお店の人気の秘密を探ってみましょう」
こちらは、作業着専門店・大手のワークマンが一般のお客さんをターゲットに一昨年からショッピングモールを中心に展開しているお店「ワークマンプラス」!
ここ最近、作業着専門店がとてもおしゃれに生まれ変わっていて、女性客が殺到しているというのです。店舗数も、急増しています。「ワークマン」の店舗数は、今、ユニクロよりも多く、売り上げは過去最高の900億円超え!作業着業界に何が起きているのでしょうか。
作業着だから機能的!しかも安いんです!
【薄田ジュリアキャスター】
「こちらのベスト、パッと見ではわかりませんが、裏地にはアルミプリントが施されていて、非常に軽くて薄いのに保温性に優れている商品なんです。しかもお値段が税込みで1,900円!とってもお得ですよね?」
寒い屋外での作業用に開発されたアルミプリントのベスト。
さらに、元々厨房での作業のため作られたこちらのシューズには、意外なニーズが・・・
【60代の女性】
「凍るでしょ?これから雪で。道路が。その時よく滑りそうになって怖かったから、これがあったら安心かな」
雨や雪の日でも“滑りにくい”と、高齢者や妊婦の間で大人気に!
こちら、雪深い所での作業向けに開発された防水手袋は・・・
【男性】
「サーフィンするんですけども、海入るとき用にちょうど、この間見た時に使えそうだなと思って」
職人以外の人にも使い道があるというお客さんの声を受け、ワークマンは一般向けの出店を決めました。
【ワークマン 営業企画部 林知幸 販売促進グループマネジャー】
「ワークマンっていうと他の作業服屋さんもそうかもしれないですけど、なかなか普通の人が入りずらいイメージがあるじゃないですか?」
【薄田キャスター】
「はい」
【ワークマン 林マネジャー】
「なんで、せっかくならうちのワークマンの製品はアウトドアやスポーツに使ってもらえるので、こういう店を出せば、ちょっとみなさんの目に触れる機会が多くなるんじゃないのかな?っていう」
【薄田キャスター】
「ワークマンプラスの方が少し値段が上がるんですか?」
【ワークマン 林マネジャー】
「あ、一緒の値段です。実は、ワークマンプラスとワークマンは全く同じものを売ってるんで」
【薄田キャスター】
「え?販売してる商品一緒ですか?」
【ワークマン 林マネジャー】
「一緒なんですよ」
ワークマンプラスでは、ワークマンの1700アイテムから選りすぐった約200アイテムを販売。同じ商品を扱っていても、売り方にある仕掛けが…
例えば、こちらの防風ジャケット。ワークマンでは無造作に並んでいますが、ワークマンプラスではこんなにオシャレに陳列されているんです。服をマネキンに着せたり、照明を工夫したりと、演出が“プラス”されると、同じ商品でも全く違った印象を受けますよね〜。
【建設業の20代男性】
「社長にオシャレしたいですって言ったらOKもらったんで。それでちょっと買いに来て」
【20代女性】
「普通のワークマンと違ってオシャレやなと思って、来てみようかなと思って」
プロ仕様の高い機能性と、商品をより魅力的に見せる演出がヒットの秘訣のようです。
ただ、こうした人気は、ワークマンだけではありません。今、大阪発祥の作業着メーカーが、おしゃれな服を売り出していると、話題になっています。
【薄田キャスター】
「ちょっと店頭のマネキン見てください。めっちゃ飛んでますよ!しかも、何このポーズ。さらにこっちのマネキンなんて、バク宙してますね。こんなアクロバットな動き、作業員さんしないと思うんですけど、実はここも作業服を扱うお店なんです」
アクロバットなマネキンが目を引くこちらの店は「たまゆらアスレ」。大阪発祥の作業服専門店「たまゆら」が去年、大阪市鶴見区に出したお店です。
西のワークマン登場 見た目も機能性も価格も負けていません!
どうですか?作業着とは思えないほどオシャレですよね!?全身コーディネートで、1万2千円ほどです。
しかも!
暗い所では、帽子とジャケットが光るんです。夜、車のライトなどに反応すると光るので、交通事故の防止に一役買ってくれそうですよね。こうした機能も、作業着メーカーならでは。
自社で開発した製品が人気のワークマンに対し、たまゆらが目指すのはズバリ「作業着のセレクトショップ」!店内には、自社で開発した商品だけでなく、他社のおしゃれな作業着も陳列されているんです。
【たまゆら 商品部 神口敬之部長】
「セレクトショップをすることにより、新たな商品に切り替えていけるっていう大きな利点がございますね」
色々なメーカーの作業着を取りそろえることで、商品開発のコストも浮きます。そして、作業着メーカーには、職人以外の客層に商品を知ってもらえるというメリットがあります。店頭には400社以上のメーカーから選りすぐった商品が並んでいます。
例えば、こちら。一見普通のジーンズですが、水をかけてみると・・・
【薄田キャスター】
「おっ!すご~い!!水滴がホントきれいにはじかれますね!」
【たまゆら 神口部長】
「そうですね、こういう形で撥水機能が付いて、え~っていう形のデニムのパンツになります」
【薄田キャスター】
「なんかガラスの粒みたいになって」
【たまゆら 神口部長】
「そうですそうです」
【薄田キャスター】
「ホントだ。(水滴を)落とせるんですね、こうやって。へ~!ジーンズにここまでの撥水機能っていうのは、確かにこれまでなかったと思います」
【たまゆら 神口部長】
「さまざまな機能があるものを、作業服業界、作業服の中では当たり前でも、一般の方にまだまだお伝えしきれてないものがたくさんございます。それを少しでもこのお店を通じてですね、皆さんに情報ソースとして発信していければなという風に思っておりますね」
そして、もう一つ、注目の「作業着」、見つけました。
ぴしっとした出で立ちで働く人たち。どう見てもスーツですが…
作業する男性「スーツではなくて作業着ですね」
クリーニング要らずで楽チン!スーツ型作業着
スーツ型の作業着を開発したのは、作業着メーカーではなく、水道会社なんです。どうして、見た目がスーツの作業着を作ったのでしょうか?
【オアシススタイルウェア 広報 岩見祐香さん】
「業界的に建設業っていうのが若手の採用っていうのに特に苦しんでいて、で、何か社員のモチベーションを上げつつそういう採用面でも何か効果があるものが作れればっていうので、社内プロジェクトとして、ユニフォームを新しく自分たちで作ろうっていうのが立ち上がったんですね」
現場の泥臭いイメージを変えようと・・・従来の作業着を一新。見た目はスーツですが、ストレッチ性があり伸縮自在!撥水機能もあるので雨に濡れても安心!水洗いもオッケーなので、
クリーニングに出す手間も省けるという優れものなんです!
【オアシススタイルウェア 岩見さん】
「家事にかける手間が減ったっていうのでかなり奥様も大満足みたいな声はいただきますね」
【オアシスソリューション 坂本剛輝さん】
「やっぱりこういったカチッとしたものを着ることによって、髪型とか身なりに気を遣うようになりました」
【オアシスソリューション 竹内竜也さん】
「仕事終わりこのまま飲みに行ったりとかもしますね。デートしたりとかもします」
元々、社内向けに作ったユニフォームでしたが、すぐに評判がクチコミで広がり、注文が殺到。建設業や運送業、酒造メーカーなどおよそ330社が制服として採用し、発売から1年で売り上げは1億円を突破しました!
去年11月からは、人気のセレクトショップでも販売しているんです!
【薄田キャスター】
「作業着スーツをこの店で扱うようになったのはお客さんのニーズが 変わってきていたんですか?」
【アーバンリサーチ ルクア大阪店 井上貴博店長】
「そうですね、もうホントに時代と共にかなり変わってきてると思いまして、やはりホームケアできるラクチンさだったりとか、快適性っていうのが非常に求められていると思います」
【薄田キャスター】
「着る方もラクだし、準備する方もラクですね」
【井上店長】
「ホントにラクですね。なので朝の時間がすごく空いて、日常的に快適になるんじゃないかなとは思います」
【薄田キャスター】
「トータルで快適ですね」
【井上店長】
「もうすべてが快適です」
見た目も機能性も進化を遂げた作業着。次は、どんな作業着が生まれるのでしょうか?