消費税引き上げに合わせ、8月20日から“値上げ切手”の販売がスタート。さらに街の家電量販店では「増税前に!」の文字が躍っています。
着実に近づいてくる“消費税増税の足音”…
これまで、3%から5%、そして8%と、消費税が上がるたびに、多くの人が、増税前に“駆け込み”の買い物をしていました。今回は、増税前に何を買っておけば、おトクなのでしょうか!?
おカネのプロ・ファイナンシャルプランナーの風呂内さんに聞いてみました!
【FP・風呂内亜矢さん】
「普段からの値動きが2%以上あるものとか、避けたほうがいいというのは基本的な考え方になるんですね」
そんな風呂内さんがおすすめするのがこちら!
高額で、増税の影響をもろに受ける冷蔵庫、エアコンといった「白物家電」や、保険適用が効かないインプラント治療といった「自由診療」なども今のうちに!「定期券」や語学教室などの「回数券」もおすすめなんだとか。
【FP・風呂内亜矢さん】
「例えば9月中にむこう6か月使える定期券とか。習い事とかで回数券タイプになってるケースがありますし、8%で取得をしても同じように6か月使えたり10回使えたり、効能が一緒なので、買ったほうがいいんですね」
一方、今急いで買わなくてもいいモノは、普段からセールなどで値引きされがちなトイレットペーパーや洗剤といった日用品。そして、そもそも消費税がかからない金券、商品券などは増税前に買いだめする必要はないそうです。
ただ今回の消費税増税は、過去のものとは大きく異なる点があります!
ついに始まる「軽減税率」 適用される品物とは…?
【薄田ジュリアアナ】
「食料品から日用品まで幅広く扱っているスーパーではどんな対応になるんでしょうか」
増税と共に導入される『軽減税率』。消費税が10%になっても、飲料や食料品などは、基本、8%に据え置かれるという制度です。実際、買い物にどんな変化が出てくるのか?消費税10%の世界をシミュレーションしてみます。
今回は、わかりやすいように「8%のかご」と、「10%のかご」に分けて入れてもらいます。果物などは8%、洗剤など日用品、お酒は10%ですが…
【薄田アナ】
「え、“みりん”って10%ですか?」
【店員】
「“本みりん”はアルコール度数が1%以上でお酒になるので10%になります」
【薄田アナ】
「え~、これ知らない人多いんじゃないですか?」
みりんは、アルコール度数1%以上のため、酒類に分類され、軽減税率の対象外なんです。一方、アルコールの入っていない「みりん風調味料」は軽減税率の対象となり消費税は8%です。
【薄田アナ】
「お酒もノンアルが8%で、普通のアルコールが10%になるんですね」
生活に欠かせない、この箱ティッシュですが、実は、これも10%です。
【コープデイズ神戸北町・サービスチーフ 伊豆千愛さん】
「尋ねられたときに、きちんとお答えできるように勉強しないといけない」
そして、軽減税率“最大のややこしさ”が、『イートインか、持ち帰りか、問題』
店内で着席して食べた場合、消費税は10%となるのですが…持ち帰りにすれば、消費税は8%となります。この制度で、ややこしくなることがあるんです。
【店員】「こちらのお弁当、お店で食べますか?」
【薄田アナ】「イートインあるんですか?」
【店員】「あちらにあります」
【薄田アナ】「じゃあ食べようかな」
【店員】「それでしたら10%になります」
【薄田アナ】「あ、そうですよね。これ食べたら10%なんですよね。だったら、持ち帰りで…すいません…けちなのがばれる」
スーパーで売られているお弁当やお惣菜も、イートインスペースで食べるなら消費税は10%、家に持ち帰るなら8%となります。
【薄田アナ】
「弁当買う人が、持ち帰りますって言って8%で買ったのに、店内で食べてる、みたいなことも起こりうるが?」
【店員】
「会計のときに、(店内飲食の)申し出があれば0%%という形になります」
【薄田アナ】
「お客さんを信じるしかない?」
【店員】
「そうですね。皆様からの申告で判断することになります」
ちなみに、軽減税率対応のレシートでは、軽減税率の対象になった商品は表記され、10%とは区別されます。
気になる合計金額ですが、今回の買い物では4500円に。日々の買い物、ちりも積もれば…家計には痛い話かもしれません。
さらにこの軽減税率、意外なところでも混乱が起きそうなんです。
【薄田アナ】
「こうした売店で買った食べ物、実は“その食べ方”によって10%か8%か分かれる可能性もあるんです!」
国税庁は8月、軽減税率の線引きについて、指針を公表しました。
テーマパークなどの売店で買った食べ物を「食べ歩き」するなら、持ち帰りと同様、軽減税率が適用されるとしています。
しかし、ややこしいのが…
【薄田アナ】
「ベンチで食べてる方いますね」園内の各所に置かれたベンチなどで飲食した場合です。
国税庁によると、たとえ売店でテイクアウトしても売店が設置・管理するベンチで食べるなら、「店内飲食」扱いになるとしているのです!園内に数多くあるベンチ。「売店管理」と「そうでないベンチ」、どこで食べるかで税率がかわる可能性もあるのです。
【女性客】
「8%だと思ったら10%の場所だったとかね、なんか制限される感じがするね、日ごろの日常が」
【女性客】
「(2%は)積み重ねていったら大きくなるかなあ…。レジャーシート持参ですねw」
こちらの「神戸布引ハーブ園」では、悩んだ末、テイクアウトも一律「消費税10%」にすることにしました。
【神戸布引ハーブ園・本位田有恒 園長補佐】
「施設全体を(飲食)スペースとして考えているので、全て10%で考えてます」
【薄田アナ】
「園全体が店内と言う認識?」
【神戸布引ハーブ園・本位田有恒 園長補佐】
「そうですね。一番戸惑うのはお客さんかもしれないので、何らかの形で周知していくのがいいのかお声がけがいいのか、今から手探り状態で、我々も一番心配なところです」
日本ではまだ誰も経験していない軽減税率…参考にするため、あの国を取材しました。
既に軽減税率を導入しているフランスはどうなってるんでしょうか?
“消費税発祥の地”フランスでは50年も前から軽減税率が導入され、市民の間でも当たり前になっていると言います。
そもそも、フランスでは…基本、消費税20%で、日本と同じく食料品は軽減税率の対象となりますが…
【藤田裕介記者】
「パン一つとってみても加工されていないものか、加工されたサンドイッチかによって税率が異なります」
加工されたサンドイッチは10%。一方、加工されていないフランスパンは5.5%です。
さらに、ミルクチョコレートは「贅沢品」として軽減税率の対象外で、一方、ブラックチョコレートは生活必需品として5.5%なんだそうです。う~ん、ややこしい…
フランスの皆さんは買い物で混乱していないんでしょうか?
【フランス人男性】
「確かに、税率が違うのは少し気にはなるけど、普通に買い物している時は問題ないよ」
【フランス人女性】
「税率が違うのは知っているけど、その理由はよく知らないわ」
【フランス人女性】
「軽減税率なんて気にしてないわ、ただ買って帰るだけよ」
一見、ややこしそうな軽減税率ですが、日本でも、意外とすんなり市民になじむのかもしれませんね。
消費税10%への引き上げ、そして軽減税率の導入まで、あと1ヵ月。私たちの生活はどこまで変わっていくのでしょうか?