河内長野市や千早赤坂村など奥河内が舞台の映画『鬼ガール』。
井頭愛海さん(18)が主演を務め、鬼族の末裔である女子高生を描く、青春ストーリーです。
監督を務めるのは、河内長野市出身の滝川元気さん(33)。
この映画にかける特別な思いがあります。
【瀧川元気監督】
「この映画鬼ガールを通じて奥河内にいってみたい、奥河内のあれこれを触れてみたい、これこれ食べてみたい、そしてあれこれ買ってみたいにつながって、ファンになってもらって、行きたい場所になってもらえたらいいなと」
メインの舞台である河内長野市は、大阪・難波から電車で30分と交通の便がよく、ベッドタウンとして知られています。
しかし、この10年で人口が1万人以上減るなど、人口の流出や高齢化で町の活気はなくなってきています。
そこで『鬼ガール』では、河内長野の魅力も発信することを決意。
重要文化財・「観心寺」の中にセットまで組み撮影するなど、あまり知られていない名所の「聖地巡礼化」を狙います。
【瀧川元気監督】
「人口減少とか若手が流出とかあると思うんですけど、色んな手を使えば河内長野はいじりようがあるというか、遊べる魅力がたくさんあるので、ビジネス的にも、観光的にも。そういうところを提案できるようなシティープロモーション、ブランディングにこの映画を通じて貢献出来たらいいなと思ってます」
【主演・井頭愛海さん】
「人のつながりの温かさはすごく感じました。こんなに奥河内は自然豊かで、みんなに知ってもらいたいステキな場所がたくさんあるんだなということは痛感しました。」
映画製作によって、街を活性化させようと動きは、全国的に広まっています。
映画の撮影をサポートする組織・「フィルムコミッション」は全国の自治体で200以上あり、PRイベントも度々開かれています。
しかし、河内長野が選んだ道は、自分たちの力だけで映画を撮りきること。
滝川監督と地元の有志らが中心になって『奥河内ムービープロジェクト』を立ち上げました。河内長野では、フィルムコミッションを通さず、地元の人々が、ボランティアで撮影を支えているのです。
ロケの許可申請から、車の手配や運転。さらには、キャストやスタッフのために朝昼晩の食事も手作りで提供するなど、お揃いの青いシャツを着たメンバーが、現場を走り回ります。
【奥河内ムービープロジェクト・西野修平さん】
「連日ですね、朝3時起き、4時起きで夜中まで一緒に映画クルーとキャストの皆さん、スタッフの皆さんと一緒になって映画を作ってるという感じです」
エキストラもほとんどが地元の人たち。
地域オーディションには、なんとのべ700人以上の応募がありました。
【参加した地元の男性】
「色んな経験できるし、楽しい」
【参加した地元の男性】
「何かの形でずっと参加したいとずっと思ってて。ぜひ(奥河内を)盛り上げてほしいですね。いいとこたくさんあるので」
さらに、河内長野市出身ということで、大阪府の吉村知事がまさに知事役で出演しています。
映画に出るのは初めてということで慣れない演技に苦戦。
<監督>「もう一回(やり直し)」
<会場>「(笑)」
【大阪府・吉村洋文知事】
「緊張しました。すごく新しい取り組みですし、これからの地域の魅力発信の新たなモデルになるんじゃないかなと思ってます」
ハードな撮影の後は、地元の商工会の女性部がふるまう晩御飯。
撮影期間中は毎日、キャストやスタッフに温かいご飯を食べてもらいたいと、地元の飲食店などが交代で炊き出しを行います。
テーブルに並ぶ地元の食材で作った手作りの料理。撮影で疲れたスタッフたちも思わず…。
【男性スタッフ】
「美味しいです」
【女性スタッフ】
「美味しい。めっちゃ美味しい」
【瀧川元気監督】
「顔の見える方々が、顔の見える相手にねぎらいの気持をこめて作って頂いてると思うので、温度以上の温かみが感じれて、それが明日の活力じゃないですけど、血となり骨となっていると実感します」
撮影が全て終了した今も、『鬼ガール』のシーンを使った市のプロモーションビデオを作成するなど、”町おこし”を目指した活動が続いてます。
【奥河内ムービープロジェクト・西野修平さん】
「映画を撮ることが目標ではなくて街を元気にするということが目標なので、そこまでがゴールなので、ちょっとまだ長い道のりですけど頑張りたいと思っています」
【瀧川元気監督】
「最高の娯楽としてエンターテインメント性の高い映画を目指しつつ、そういう商品化であったりとか、ツアーであったりとかしやすいような仕掛けはある程度考えて仕込んではいます」
奥河内の一人一人が作り上げる『ムービープロジェクト』
思い描く ”街の未来”に向かって走り続けます。