【元喫煙者の60代男性】
「喫煙席でいいですか?って言われたら、絶対イヤ!なんでタバコ吸う奴と一緒にメシ食わなあかんねん!って思う」
【喫煙者の40代女性】
「20年以上吸ってます。ちゃんとマナー守って吸っているので、許してほしいって感じですかね」
【喫煙者の60代男性】
「まぁ時代の流れでしょうがないんじゃないかなぁと思うんですけどねぇ」
飲食業界に押し寄せる「禁煙化」の波。いまや、4割を超える飲食店で全面禁煙化されているというのです。
また、来年4月以降、国の基準により客席面積100平方メートルを超える既存の飲食店は分煙スペースを設けない限り全面禁煙化を義務付けられます。
さらに大阪府では2025年4月以降、客席面積30平方メートルを超えると同様の義務付けがなされることがすでに決まっています。
そうなると大阪府内の飲食店の半数近くは「原則・屋内禁煙」の対象になります。
昨今の健康志向にもピッタリ!と思いきや、街の飲食店に話を聞いてみると…
【天満産直市場 加藤雄志店長】
「やっぱ、吸える居酒屋とか、吸える店を探しに来てるんで、まずうちのお店は大衆居酒屋っていうので、やっぱ来たら「吸えるよね?」っていう前提で入って来るんで、禁煙にすると、やっぱ日頃来てくれてる常連さんとかも離れていくやろうし、禁煙にすると売り上げは下がると思います」
禁煙化で喫煙客が離れると、売り上げが下がってしまうリスクがあるとのこと。
リサーチ会社によると、喫煙者が居酒屋を選ぶ時に重視することは、「食べ物がおいしい」ことに次いで、「タバコが吸える」ことが第2位に!お店にとっては、禁煙化に踏み切れない高いハードルがあるのです。
そんな中、去年6月、全面禁煙に舵を切ったのが、こちらの居酒屋チェーン。
【串カツ田中福島店 金山泰真店長】
「『大丈夫なのかな?』というのははじめにそうすると聞いた時は感じましたね。急に禁煙になったので、『あ、それだったら今日は帰るわ』とかっていう形で、帰られるお客様も実際にはいらっしゃったんですね」
当初は、アルコールを多く注文しやすい喫煙客が減ったことで、客単価はダウン。
ということは、やっぱり売り上げも下がったのかと思いきや・・・
【串カツ田中ホールディングス 経営戦略部 永瀬もなみさん】
「禁煙化する前の年と比べると、客単価は下がりましたが、売り上げは上がりました」
一体なぜ、売り上げアップしたのでしょうか!?
知っトク①客単価ダウンなのに売り上げアップのワケ
【ファミリー客の父親】
「今回が初めてです。串カツ食べたかったですけど、子どもがいるので、煙草が吸ってない場所に行きたかったんですね」
全面禁煙を開始して、喫煙者が多いとされる会社員の男性客の割合は減りましたが、子どもを連れて来やすくなったことで、ファミリー客の割合はアップ。結果、お客さんの絶対数は増えたことで、売り上げは「2.6%」アップしたのです。
そして店内をよく見ると、串カツ屋なのに、いたるところに、なぜかたこ焼き専用の鉄板が・・・
【ファミリー客の母親】
「無料やから」
Q:無料なんですか?
「そう、子どもがいたら無料やから、(たこ焼きを)頼みます」
小学生以下の子どもを連れて来店すれば、たこ焼きやソフトクリームが無料になるんです。しかも、お店側が作って提供するのではなく、手づくりを体験してもらいます。
【ファミリー客の子ども】
「たこ焼き焼くのとか、(ソフトクリーム)入れるのとか、めちゃくちゃ楽しかった」
【串カツ田中ホールディングス 経営戦略部 永瀬もなみさん】
「『串カツ田中は楽しかった』っていう風に思っていただいて、10年後20年後も来ていただけるように、そのためにお子様を大事にしています」
全面禁煙化は、ファミリー客の獲得にとどまらず、子どもが成長して大人になった時の来店も見据えているのです。
そして、「全面禁煙」だからと言って、タバコを吸う人のことも忘れてはいません。
知っトクポイント② 喫煙者の方がおトク!?驚きのサービス
こちらの男性二人組は喫煙者。全面禁煙とは知らずに来店したそうなんですが・・・
【串カツ田中福島店 金山泰真店長】
「はいすいません、失礼しま〜す!ジンジャーハイボールと、メガサイズのジンジャーハイボールでございます!」
【喫煙者の男性客】
「でっかいな!」
タバコの箱を提示するだけで、通常の料金で、ドリンク1杯の量を倍増してくれるサービス、その名もノンスモーキングチャレンジ!
店内での喫煙を我慢してくれるお客さんへの感謝の気持ちを込めて去年11月から始めました。
【喫煙者の男性客】
「全然オッケーですね。これで禁煙やったら。ただただ禁煙って決められて、『あ〜しゃあないな』って言うよりも、『こういう得があるよ』って言ってる方が、喫煙者が得ってわけでもないけど、ちょっと(タバコを)我慢する価値はあるな〜」
【喫煙者の男性客】
「うれしいですね。やっぱり吸えへん分、やっぱり飲んじゃうんで」
串カツ店なので、当然ソースの二度漬けは禁止ですが、お店の外でタバコを吸ってから再びお店に入る「二度入り」はOK。タバコを吸う人への心遣いも、お客の心をつかむポイントのようです。
しかし、本音は・・・
【喫煙者の男性客】
「・・・・・・いやでも吸いたいな」
「吸いたいやろ?それが本音や、当たり前やん」
「うれしいけど、吸いたいわ」
そんな心の声にも応える強〜い味方が、京都の会社から全国へ広がっています。
【薄田ジュリアキャスター】
「これが、その喫煙スペース?」
【フジタカコーポレーション 米玉利幸弘シニアアドバイザー】
「はい」
【薄田キャスター】
「へ〜!オシャレですね!え、木目と、ガラス?すごくスタイリッシュですね。あれでも扉は?」
【米玉利さん】「ない」
【薄田キャスター】「え?扉なし・・・」
【米玉利さん】「煙もれないから」
知っトクポイント③「分煙の極意は煙を分けて〇を分けない」
なんと、扉のないこの喫煙室!デンマーク生まれの「スモークポイント 」。果たして、本当に煙は漏れないのでしょうか?
【薄田キャスター】
「・・・臭わないですこれ」
【薄田キャスター】「この煙って、今ここで吸われてるんですか?」
【米玉利さん】「ここ」
【薄田キャスター】「あ、あそこ?」
販売会社によると、吸い込まれたタバコの煙は、特殊な3つのフィルターを通して、99.95%カットされるとのこと。その後、タバコの成分がほとんどなくなった空気が、室内に戻されるという仕組みになっています。
入り口に立っていてもほとんど気にならない、まさに吸う人にとっても吸わない人にとっても快適な喫煙室なんです。
この喫煙ブースは、右肩上がりで売れ続け、現在全国の飲食店やホテルなどで2000台以上が稼働中です。
【米玉利さん】
「世の中の風潮では、タバコ吸う人向こう行っとけって感じじゃないですか?そうじゃなくて、タバコ吸う人もここの中で吸っていただいたら快適。要は、『煙を分けて人を分けない』」
【薄田キャスター】「あら?」
法改正などに伴いさらなる加速も予想される飲食店の禁煙化。
その波にのって売り上げを伸ばしている取り組みには、タバコを吸わない人だけでなく、吸う人への愛も込められているようです。