ーJR新大阪駅ー
プラカードを手に誰かを待つのは、中川直美さん(43)。
中川さん「今日はカナダからカップルで来られます。年齢とか、それ以上のことは分からない。ドキドキします。どんな方が来るか分からないので…」
すると、カナダ人のカップルと合流。観光で1ヶ月間日本に滞在しているとのこと。そのまま、中川さんが運転する車で自宅に向かったのですが…、『エアキッチン』とはどんなサービスなのでしょうか?
中川さん「今日は家で餃子を一緒に作りましょうね。」
フランクさん(28)「彼女の大好物なんだよ!」
エレンさん(25)「カナダの餃子は日本ほど美味しくないわ…」
フランクさん「家で作りたいので、作り方を教えて欲しいんだ!」
外国人が日本の家庭で料理体験を行い、日本人が旅行者をもてなす、マッチングサービス「エアキッチン」。登録料は無料。現在、2千人以上のホストが登録し、その9割が一般主婦。中には、英語が話せない方も利用しています。
中川さん「私は専業主婦なんですけど、ボっーと過ごすのが苦痛で、空いた時間を楽しく有効活用できないかと思って始めました。小学生の息子がいるんですけど、餃子がすごい好きなんです。」
得意の餃子作りを活かしたいと、先月「エアキッチン」に登録した中川さん。外国人を出迎えるのは、この日で3回目です。献立は、だし巻き卵など、日本の食卓では一般的なメニュー。料金は1人5000円。運営会社への手数料と材料費などを差し引いて、収入はおよそ7000円です。
ー中川さん宅の台所にてー
その餃子作りは、かなり本格的。なんと皮から作っていくのです。
中川さん「生地が硬いので、5分くらい粉をこねて下さい。」フランクさん
「(エレンさんに向かって)頑張って!」
食堂のカウンターで餃子を焼いているところを目の当たりにし、実際作りたくなったという2人。そんな中「エアキッチン」を見つけました。料理体験を通じて、世界中の旅行者と国際交流ができるのも「エアキッチン」の魅力です。
フランクさん「香りがとてもいいね!(餡をこねるのは)背中のマッサージをしてるみたいだよ。」
中川さん「色んな話をしながらやっていると、私も楽しいし彼らも旅行してるだけでは見えないものが見えたり、楽しくてちょっとお金も残って嬉しい。」
中川さん「一つひだを作って、2つ3つとひだを作っていきます。」
フランクさん「とてもキレイだよ!」
そして、いよいよクライマックス。初めて見る餃子のフライ返しに興味津々の様子。
フランクさん「素晴らしい!レストランにいるみたいだよ!」
初めて作った日本の焼き餃子、そのお味は?
フランクさん「美味しい!訪れた土地の文化や食べ物、調理法も学べました。日本で1番楽しい体験の1つでした。」
外国人観光客と主婦をつなぐ新しいサービス。仕掛けたのは、大手IT会社…、ではなく、たった2人の若者。きっかけは、旅行先のマレーシアで招かれた食卓でした。
『エアキッチン』代表・永津豪さん(25)「友達でマレーシア人の子が大学の研究室にいたのですが、普段はその子が日本にいる時には、箸で器用に食べるのですけど、彼の実家にいる時は手を使って食べていて、実際に現地の人の家に行くことが楽しくて、そういうサービスがあったらいいなと思って始めました。」
いまや外国人観光客にとって新しい”観光コンテンツ”。そして同時に日本人の主婦にとっては”よきアルバイト”。
東京・国立市在住の真見菜穂子さん(48))さんは、何と驚くことに月に20万円以上を売り上げたこともあるそうです。これまで150人近くの外国人を自宅でもてなしてきました。一体何が、旅行者たちを惹きつけているのでしょうか…
ゲストがやってきました。待ち合わせをするのではなく、自宅の地図を事前に渡し、日本の家に招き入れるような”おもてなし”からこだわっています。やってきたのは、20代のアメリカ人夫婦。日本滞在は3週間、その目的は?
ジョーダンさん(妻・27)「各地で食べ歩いて、大阪でも1日4、5軒回ったわね。」
観光庁の調査によると、日本で最も期待していたことでは「日本食を食べること」が1位。中でも、エアキッチンで最近、登録が増えているジャンルが…「ジャパニーズラーメン」。真見さんもラーメンを提供する1人。醤油ラーメンです。
真見さん「ラーメンのスープを作りましょう。私はいつも3つの具材でスープをとってます。1つは鶏がらと海老の殻、そして最後に煮干しを入れます。」
真見さんが作るスープは、ラーメン店顔負けのトリプルスープ。前日から手間暇かけて仕込んでいます。
ジョーダンさん(夫・29)「はぁ~、とてもいいよ。」
真見さん「スープはとても大事です。」
そして、ジョーダンさん夫妻が1番楽しみにしていたのが麺作り。
ジョーダンさん(夫)「イチから麺を作ってみたかったので、とても楽しみだよ!」
これまで、パスタを作ったことはありましたが、ラーメンの製麺は初めての経験です。
ジョーダンさん(夫)「楽しいよ。」
真見さん「みなさん笑顔で、本当に満足していただいているなと思います。その時が1番嬉しいですね」
ジョーダンさん(夫)「ラーメン大好きなんだよ~」
真見さん「試してみてくださいね。」
さらに、家でも作れるようにとレシピを伝授。日本人の細かい気遣いを散りばめ、家にいながら日本のラーメン店に来たかのような雰囲気を感じさせることが、外国人を惹きつけている理由だったのです。
ジョーダンさん(夫)「(完成したラーメンを食べて)とてもいいね!早速、家に帰って作ってみるよ!」
ジョーダンさん(妻)「スープの香りがとても大好き。最高よ!」
スープも全部、飲み干してしまいました。
ジョーダンさん(夫)「もう死んでもいいぐらい(満足)だ。」
ジョーダンさん(妻)「エアキッチンのシステムは、一般家庭に入り人に触れあえ、日本の伝統的な手作りの料理体験ができるのがいいです。料理学校ではこういう体験はできないですから。」
料理で世界とつながる斬新なサービス。今後、主婦の新しいビジネスモデルになるかもしれません。