【ディレクター】「いまハマっているスイーツありますか?」
【10代女性】「シュークリーム」
【20代男性】「プリン」
【50代女性】「セブンイレブンのちょっとやわらかいバームクーヘンあるんですよ。あれ好きです」
【60代女性】
「甘いものはだから大福とかおはぎとかは好きやけども、やっぱり普段食べるのはおかき類が多い。甘いの食べたら辛いの。両方食べたくなるからね」
平成の世は、スイーツ乱立のまさに戦国時代。
いまや、一世帯あたり年間8万3000円分以上は食べている平成スイーツの先駆けと言えば…「ティラミス」!
バブル期の1990年、若者に流行ったイタリア料理店のデザートに出され、雑誌で特集されたことをきっかけに、日本中に巻き起こったティラミスブーム。
爆発的ヒットで平成スイーツマネーの源泉となったティラミスブームを支えたのが、実は大阪のメーカーだったこと、みなさんご存知ですか?
【不二製油 角谷武彦 執行役員】
「今までにないホントとっても新しいデザート、お菓子、洋菓子だと思いました」
まだ昭和の時代だった1986年、お土産で初めてティラミスを食べたという角谷武彦さん。
当時、会社の企画室に所属し、多くの新商品と接することが多かった角谷さんはその頃日本で人気だったムースに似たやわらかい食感と、コーヒーのほろ苦い味の効いたティラミスが、日本人にも受け入れられると直感したといいます。
しかし、ティラミスの原料である動物性のマスカルポーネチーズは、当時イタリアから空輸するしかなく、輸送費がかかる上、日持ちもしないため、ティラミスを扱っているのは一部のイタリア料理店だけでした。
そこで、開発されたのが…
【薄田キャスター】
「見た目はマスカルポーネチーズ。いただきます。(試食して)ん!確かに何かちがう!」
【不二製油開発部門 佐野亘彬さん】
「そうなんです、実はこれ、マスカルポーネチーズの代替品の『マスカポーネ』というものなんです」
【薄田キャスター】
「マスカポーネ『ル』じゃなくて、マスカポーネ」
【不二製油開発部門 佐野亘彬さん】
「【ル】なしで、マスカポーネ」
【薄田キャスター】
「あ〜!で、でもこれ、言われなかったらわからないかもしれない」
不二製油が、植物性の油脂で作った「マスカポーネ」。気になるティラミスにした時のお味は?
【薄田キャスター】
「おいしそう。(食べる)ん〜!あぁすごく好きな味。普通にティラミスだ。マスカルポーネチーズのティラミスと、ちがいがわからない」
1日に十数種類の試作を繰り返し2年かけて、マスカルポーネチーズの代用品を開発。価格はマスカルポーネチーズの3分の1以下で、保存期間は3倍以上です。
【不二製油 角谷武彦 執行役員】
「マスカルポーネ独特の乳味、コクを再現するのが難しかったですね。マスカルポーネチーズは当時非常にお高くて、また、日持ちもしなかったものですから、ティラミスが日本でブームになれば、私どものマスカポーネを使っていただける」
このマスカポーネの誕生により、大量生産が可能になった日本製ティラミス。「おやつ」に慣れ親しんできた消費者にも変化をもたらしました。
【知っトクポイント①】「大人もおやつ」
【スイーツブロガー スイーツ番長】
「甘いもの全般を含めて『スイーツ』と一括りにしたのは平成に入ってからになりますからね。カタカナにすることによって、なんていうんだろう、ちょっとオシャレっぽく感じてしまう」
子供が食べる甘いモノ、というイメージが強いおやつが、「スイーツ」と言いかえられることで、大人が「子供扱い」されることなく楽しめるおしゃれな食べ物に変身したのです。
さらに、こんな変化も…
【知っトクポイント②】「24時間おやつタイム」
【スイーツブロガー スイーツ番長】
「『3時のおやつ』だとか、『お3時さん』とか言い方ありますけども、「おやつとして食べるような間食でもなくなって、それぞれ食べたい時に楽しむ。中には、お酒飲んだらふらっと帰りにコンビニ寄って甘いもの買っちゃうっていう人もいるし、会社でお茶の時間にスイーツを食べる人もいるだろうし、そういった意味で時間はずいぶん変化しましたよね」
消費される年代だけでなく時間帯にまでもボーダレス化をもたらし、拡大していった平成スイーツマネー。
そんな「ボーダレス化」に目を付けたのが、コンビニ業界です。
コンビニのスイーツも、当時とは見違えるほどに変化し、いまでは、とてもにオシャレに。さらに…
【ローソン近畿商品部 梅川顕さん】
「我々『ワンハンドスイーツ』と、いうような言い方もしますけど、やはりお一人で、我々『個食』と言うんですが、お一人様用で、すぐにその場で食べられるような仕立てになってます」
単身世帯お客が増えているため、1人で食べきれるサイズの商品を打ち出し、最近のおひとり様ブームにも対応したところ、客層にも変化が・・・
【ローソン近畿商品部 梅川顕さん】
「50代以上のお客様がスイーツをお買い上げいただくことが増えております」
このコンビニチェーンでは、ここ10年で50代以上のお客さんが「1.5倍」となり、スイーツの売り上げもアップ!
その背景について、専門家はあのブームが関係していると指摘します。
【知っトクポイント③】「ティラミス世代の回帰」
【りそな総合研究所 荒木秀之 主席研究員】
「そもそも若い頃に、ティラミスを含めて非常にスイーツなんかに身近に接してた層で、非常に新しいものに感度が高いとか、価値が高いっていう所があると思うんですね。なので、そういう方々が5、60代になっても比較的消費に旺盛であるとか、スイーツに敏感であるとかっていうところが残ったまま高齢化されてるということだと思いますね」
老若男女をとわず、ほとんどの世代が口にするようになったスイーツ。
一見、縁遠そうなこちらの居酒屋では…
【天満産直市場 水原裕志 副店長】
「これはジャイアントビッグパフェです」
ジョッキに盛られた特大パフェが登場!これを目当てに来店するお客さんがいるほど人気なんです。
【天満産直市場 水原裕志 副店長】
「家族連れの方とかも増えてきてると思うので、そういうお客様に喜んでもらうためにこういうデザートですね。すごいうちの店でも重要な役割果たしてくれてます」
いつのまにか、スイーツメニューは夜の飲食店でもなくてはならない存在になってますよね~。
「おやつ」から「スイーツ」と名前を変え、楽しむ時間も場所も年齢層も広がった「平成」。
新時代のスイーツは、私たちの生活にどんな変化をもたらすのでしょうか?