ふんわり、もっちもちの食パン。
値段は2斤で800円から1000円ほど。通常よりちょっとお高いですが、材料や食感にとことんこだわった「高級食パン」です。
【男性】「なんせ甘くて柔らかいわ」
【女性】「味も柔らかさも好きですね。飽きないっていうんかな」
数年前から続くブームの火付け役となった、大阪のあの専門店は…
【薄田アナ】
「ん~、すごくもっちり」
【乃が美・阪上雄司社長】
「東京も並んでいますし関西も並んでいますし、北海道も九州もみんな並んでいただいています」
この店を皮切りに、関西の高級食パン専門店が次々と全国展開!業界は関西勢一色!?なのかと思いきや…
【銀座に志かわ 高橋仁志社長】
「東京で生まれた食パンを、『食パンの聖地』と言われている関西で勝負したい」
ここにきて、東京から関西に店を出す専門店が続出!
いまや「戦国時代」に!関西VS関東!激しいバトルを繰り広げるブームの背景には何が?
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【薄田アナ】
「あいにくの雨の天気にも関わらず、見てください、オープン前に行列ができているんです。まだまだ高級食パンの人気続いていますね」
「高級食パン」ブームの先駆けとされるのが、6年前、大阪・上本町に1号店をオープンした「乃が美」。
販売するのは、1本2斤で税込み864円の「生」食パンです。通常よりちょっとお高いですが、耳まで柔らかく、トーストせずに「生」で食べたくなる食パンとしても話題になりました。
【薄田アナ】
「もっちり!すごい繊維も伸びますね。すごい。すごくもっちり」
買いに来たお客さんにもお話を聞いてみると…
Q:今日買いに来られたんですか?
【女性】「30本!ひとり10本までやから」
Q:買うのは初めて?
【女性】「何回もある」
【女性】「細かい生地で、焼いたらもうたまらん!味はおいしい!保証する!
【女性】「たまたまここが休みだったらスーパーで買ったりするけど、一回食べたら他食べられないっていう感じですね。家族が」
人気の秘密は、袋にも。「料亭」をイメージした紙袋を使うことで、お土産や自分へのご褒美としての需要が増加。
いまでは全国で1日に「5万5000本」が売れています。おととし取材した際には、月の売り上げが「5億円」ということでしたが、今は…
【乃が美・阪上社長】
「月間に10億は超えるようになってきましたので、(年間)100億、120億のステージの、食パン一本勝負だが、そういうところまで来させてもらっています」
【薄田アナ】「食パンだけで”10憶”?」
売り上げは、たったの1年半でなんと倍に!さらに当時、全国で約50あった店舗数は、倍以上の116店舗にまで増えたのです。その背景には、独自の出店戦略がありました。
【乃が美・阪上社長】
「東京なんか絶対に流行らせられる、並ばせられる(と考えていた)。それであれば沖縄とか北海道とか、難しい北から南までを制覇してから、『地方ではやっている大阪発祥の生食パン』ということで(東京に)行ってやろうと最初から決めていたので」
大阪・上本町からスタートした「乃が美」はまず、北海道や沖縄などを含めた地方に店を出して、東京への出店を後回しに。その結果、「乃が美」の「生」食パンが「東京だけが知らないパン」としてより注目を浴びることになったのです。
去年11月に満を持して出店した東京の1号店には連日、行列ができている他、今年中には47都道府県での出店が達成される見通しです。瞬く間に「高級食パン」専門店の代名詞ともなった「乃が美」。もはや絶対王者!なのかと思いきや…
【乃が美・阪上社長】
「我々も知らない間にどんどんと東京の方からお店が逆に、同じような専門店が出てきているので、そのたびにお客様から教えてもらうことも多いんですよ。『乃が美』さんとよく似たお店ができてきたよと。」
実は、いま高級食パンブームに“新たな流れ”が…。
【俺のビストロ&Bakery心斎橋 竹田悠稀店長】
「元々は東京でスタートしたお店でして、東京では何店舗かあります」
東京に本拠地がある後発の専門店が、相次いで関西に進出。
今まさに、東西の高級食パンバトルが勃発しているんです!
東京勢が狙うのが、関西の市場の大きさです。パンへの支出額を示す地域別のランキングを見ると、1位の京都をはじめ、上位は関西の街が独占しています。
さらにすでに多くの高級食パン専門店があることなどから、関西は「高級食パンの聖地」とされているのです。そんな聖地にまたひとつ、東京から進出したのが・・
【薄田アナ】
「京都、桂に来ています。ここに3日後、食パン専門店がオープンするんですが、見てください、大きな暖簾に食パンと力強く書かれていて、その横には『銀座』という文字があります。高級感ありますね」
東京・銀座で去年9月に1号店をオープンさせた「銀座に志かわ」。1月、大阪で2号店を出し、3日後にはここ、京都・桂でオープンを控えるなど、関西での定着を一気に狙う、東京生まれの「新星」です。
販売するのは「乃が美」と同じ価格、1本税込み864円の高級食パン。銀座ではオープン以来、毎日完売しています。
【銀座に志かわ 高橋仁志社長】
「東京で生まれた食パンを、聖地の関西で勝負をしたいということで、まずは聖地・大阪で、そして京都で、京都はパンの消費量が日本一多い町なので、その町で銀座に志かわの食パンが勝負できるかを試しに来ました」
三重や名古屋でベーカリーも経営してきた高橋社長。「高級食パン」に特化した店を出す上で、最初に、地価の高い「銀座」を選んだのには、ある戦略が…。
【銀座に志かわ 高橋仁志社長】
「今回、水にこだわる高級食パンと言っているので、そういう点では我々のブランド、銀座で始まるというのはスタートの場所として最適ということで銀座を選びました」
「銀座に志かわ」は1号店で連日完売の実績を作ったことで、「銀座で行列ができる高級食パン」として話題に。
これは「シグナリング効果」と呼ばれるもので、地価の高い銀座に本店を置き、あえてコストをかけることで、質の高い商品イメージに繋がりやすいとされます。
また、「銀座に志かわ」がこだわるのが、食パンづくりに使うこちらのアルカリイオン水。通常、食パンには弱酸性の硬水が使われますが、アルカリイオン水を使うことで独特の柔らかさと甘さが引き出されるといいます。
【薄田アナ】
「すっごい柔らかいです。わかりますか、この感じ!やわらかい!もちもちですね!」
そして先週木曜に迎えた、オープン初日。開店前には、平日にも関わらず約30人の行列が!
【女性】「ぜひ食べてみたいなと思ってきました」
【女性】「ずっとネットでチェックしていて、ここにできると知ったので。もう1店舗別の高級食パン屋さんに行って食べ比べを計画中です。乃が美さんです。もう予約してあります」
初日は開店から5時間で、目標だった500本が完売しました。
ブームの火付け役となった大阪の「元祖」と、そのおひざ元を狙う東京の「新星」。それぞれが思い描く未来は…
【乃が美・阪上雄司社長】
「今ブームということで参入される方がいるみたいなんですけど、我々はブームじゃなくて100年続く企業として残していきたいので、本気ですね」
【銀座に志かわ・高橋仁志社長】
「3年で100店舗を作りたいなという思いで、日本一の食パンを目指したいなと思います」
【薄田アナ】
「3年で100店舗!乃が美さんで5年で100店舗ですよ?」
【銀座に志かわ 高橋仁志社長】
「そうなんですよ。逆にいうと乃が美さんが全国に食パン専門店を広げていただいたので、そういう意味では各地のお客さまがいろんな食パンを食べ比べしたいなという需要は必ずあると思っているので、東京で成功した食パンは絶対に関西で受け入れられる、全国で受け入れられると思っています」
高級食パンをめぐり、東西の専門店がしのぎを削る今、そのバトルの行方から、目が離せません!