大北海道展まで1ヵ月を切った髙島屋大阪店の会議室。
今回の物産展を取り仕切るのがバイヤーの鈴木一徳(かずのり)さんです。
鈴木さんは入社20年目で食料品担当一筋。
4年前から北海道展の売り場責任者に抜擢された「熱血バイヤー」です。
【鈴木バイヤー】
「いつもと違うのは消費増税。10月に入ると消費増税による消費の落ち込みが懸念される。
他の百貨店も(催事に)力を入れてくる。我々の北海道展はいかに特徴をつけるかが今回の私のポイントかと思います」
実は67年前に、国内で初めて「北海道物産展」を開催したのが、髙島屋大阪店。
その後、全国の百貨店が売り場活性化の起爆剤として開催に乗り出しました。
今回も同じ10月2日から「阪急うめだ本店」など、他の店も北海道展を開催。
“違い”をどう生み出すのかが、鍵となります。
【鈴木バイヤー】
「まず1つは期間です。通常2週間のところを、3週間展開するというところと通常70ブランドぐらいなんですが、
週替わりで90店舗。進化した展開規模をお客様にご覧いただきたい」
本番が迫る中、鈴木バイヤーの姿は大阪市内の撮影スタジオに・・・
【鈴木バイヤー】
「北海道展の折り込みチラシを作るに当たっての撮影。撮影した画像を当て込める作業です」
2日間で60種類の弁当や惣菜を撮影。食材は北海道の各メーカーから送られてきたもので、
それをフードコーディネーターが見本の写真をみながら盛り付けます。焼き色など産地のこだわりも再現。
【フードコーディネーター】
「ホタテが入ってないです」
届いているはずの食材が無い・・・。こんなトラブルも多くの商品を撮影する現場では、つきものだそうです。
【鈴木バイヤー】
「代用できるものがあればいいんですけど、最悪は航空便で明日着で送ってもらって再度撮影」
すぐさま取引先のメーカーに確認、段取りをし直します。
消費増税がポイントとなる今回の北海道展。
特に力を入れているのが税率10%となる「イートイン」コーナーです。
週替わりで人気店18店舗が登場、春から地道な交渉を続け、出店に至りました。
本番1週間前、鈴木バイヤーは北海道を飛び回っていました。
【鈴木バイヤー】
「今、函館に入っているんですけど、ここから実は今日 夕方に札幌に飛んでですね、
札幌から明日は積丹に行って、また札幌に戻るという非常にタイトなスケジュール。
タイトな中で全部詰めなくてはいけないので非常に焦っています」
2日間で4つのイートイン店舗をまわっての最終調整。
メニューの多くが高島屋オリジナルメニューとして依頼しているため、現地での最終確認が重要となります。
観光客で賑わう函館朝市の人気海鮮丼店にやってきました。気になっていたのは「食べやすさ」です。
【鈴木バイヤー】
「実際に出す時(海老の皮を)むいて出してください。やっぱりむいている方が食べやすいですし、
こういう細かいところが一番重要なんで・・・。トイマグロのどのあたりですか?赤身?中トロ?」
【店員】
「中トロです」
【鈴木バイヤー】
「本番も中トロいける?その方がお客さん喜ぶわ」
札幌へのフライトまであと3時間、息つく暇もなく、函館でもう1店視察に向かいます。
急いでやってきたのは、函館の有名焼肉レストラン。メニューは十勝産のブランド牛の赤身など
3つの部位が味わえるステーキプレートです。
昨年まではテイクアウトの弁当で「髙島屋の催し」に参加していた店主の金村さん。
鈴木バイヤーへの信頼は厚いようです。
【金村さん】
「鈴木さんと密に連絡を取り合っていた。(メニューの)提案をくれるんですよ 常に。
(提案が)すごく細いです いい意味で。書類の1つ見てもスキが無い。(熱意が)すごいです」
料理人に寄り添い、信頼を勝ち得ることで実現した髙島屋限定のイートインメニューです
【取材ディレクター】
「今回イートインに力を入れようと思ったのはなぜ?」
【鈴木バイヤー】
「準備も大変なので他の百貨店が取り組みづらい所ところにあえて挑戦したい。
(イートインの)税率も上がりますから逃げたいところではあるんですが
あえて10%でも勝負してみたいというのが私の思い」
翌朝6時、今度は札幌から北西へ110キロのところにある「積丹」へ。
向かった先は「漁港」。関西では珍しい「北海道ならではのお寿司」をイートインで振る舞いたいと、
地元の寿司店に相談していたのです。
【鈴木バイヤー】
「うわ、でっかいなあ!これ ならではですよね?ソイですね、シマゾイ」
「ソイ」は高級料亭などでも扱われる白身魚。
【寿司店・店員】
「ソイは北海道の鯛と言われています。このくらいのサイズが当日上がれば持っていければいいんですけど」
「ふじ鮨」には当初、「握りの盛り合わせ」をリクエストしていましたが、それに加えて、
一貫ずつ頼める「お好み握り」も依頼。ソイが揚がれば、メニューに入れてもらうことになりました。
【鈴木バイヤー】
「あっさりしてますね 弾力性もあって 食べ応えもあります。(ふじ鮨の出店は)期間限定で1週間だけなので
ぜひ1週目にご来店いただきたい」
札幌へ再び戻り、最後に向かったのは・・・・
【鈴木バイヤー】
「実は札幌にシメパフェブームというのがありまして・・・」
食事の後などに締めで食べる「シメパフェ」。ここ「佐藤」はブームの火付け役と言われるお店です。
【鈴木バイヤー】
「メインは北海道メロンにしたかった。思った以上に入れていただいてるので大満足です。綺麗ですね。
飴細工です。うわあ、すごいですね。おしゃれな一品です!ぜい沢な・・・」
鈴木バイヤーも思わず唸る、出来栄え!
そして、10月2日、いよいよ髙島屋大阪店「大北海道展」が開幕。午前中から大勢のお客さんが詰めかけました。
とりわけ、イートインコーナーは大盛況。海鮮丼、ステーキプレートにパフェ、瞬く間に行列が…
【鈴木バイヤー】
「半年かけて準備してきましたんで、感極まりましたね。いつも以上に出だしは好調かなと思っています。
お客様の表情を見てても楽しそうにお買い物していただいているので、すごくうれしいですね。
今回(開催期間が)3週間ということで、(イートインの)店舗も入れ替えるので、まだまだ初日ですからこれからですね。
一日一日、はい」