地域のコンビニが子ども食堂に 大人が買う“リボン”を使ってお弁当と無料交換 「子ども一人でも入れるコンビニこそやらないと…」兵庫・宝塚市 2023年10月27日
地域のコンビニが“子ども食堂”に?兵庫県宝塚市のコンビニで行われているプロジェクトを取材しました。
■“リボン”がつなぐ“善意”とは?
兵庫県宝塚市にあるローソンで、店を訪れた子どもたちとスタッフの間でこんなやりとりが行われていました。
「使っていい?」
「使っていいよ、今いっぱいあるからね」
「無料でいいの?」
「いいよ、いいよ。値段に関係なく、(値引き)シールが貼ってあるのは全部、それ(お弁当)とレジに持ってきてもらったら」
子どもたちが支払うのは、お金ではなく“リボン”です。
このローソンで2021年から行われている“フードリボンプロジェクト”。中学生以下なら誰でも、店にあるリボンを使って、無料でお弁当と交換できます。
【ローソン宝塚市役所前店 オーナー 森下忠明さん】
「お客さまが1枚300円でリボンを買ってくださって、(購入したリボンを)ホワイトボードに貼る。中学3年生までのお子さんはこのリボンを持って、値引きシールが貼ってあるお弁当とかサンドイッチを一緒にレジに持っていく。リボンを使えば、お弁当やサンドイッチは無料になるという仕組みです」
この日、子どもたちが選んだのは、チャーハンの上に唐揚げが乗ったカップごはんです。もらったお弁当を持って、うれしそうな子どもたち。
【お弁当をもらった小学生】
「うれしい。ほんまにうれしいな」
店内で調理したお弁当や総菜のうち、値引きされているものが対象で、フードロスの削減にもつながっています。子どもも、店もうれしいこのプロジェクトを支えているのは、地域の人たちの善意です。
【リボンの購入者(尼崎市の男性)】
「私たいそうな人間ちゃうから。やってあげたら気持ちええやろ」
【リボンの購入者(宝塚市の女性)】
「300円で何かできれば、それに越したことはないかなと」
中には、一人で5枚のリボンを購入する方もいました。
【リボンの購入者(宝塚市の男性)】
「大人がこういうことをしていって、食べた子供がまた引き継いでくれたら、いい社会になってくるのかなと思ってやっています」
■「子ども一人でも入れるコンビニこそやらないと」
このようなフードリボンプロジェクトには、飲食店などおよそ130店舗が子ども食堂として参加しています。その中で参加しているコンビニは、森下さんが経営する2店舗だけです。
【森下さん】
「一人で飲食店に行って、ご飯を食べさせてくださいって店員さんに言えるかっていうと、これは言えないなって。コンビニだったら、子ども一人でも入ってこられるんですよ。だからこれは、コンビニこそやらないといかんなって。絶対やろうと強く思って始めたんです」
お弁当がいっぱい詰まった袋を手に持った、一人の女性がローソンから出てきました。
【みきさん(仮名)19歳】
「6人分もらいました。きょうだいが6人いて、全員分のご飯をいつも頂いています」
19歳のみきさんは、6人きょうだいの長女です。週5日、アルバイトをしながら、中学生から2歳までの5人のきょうだいの世話や家事をしています。
リボンで交換できるのは、中学生以下で、一人1食までというルールですが、店はみきさんが6食分交換することを特別に認めています。
【みきさん】
「めっちゃ助かってます。ほんまにありがたいです。やっぱりみんな(お弁当が)ある時の方が喜んでいたり、自分も帰ってすぐに食べるものがある状態なので、ある時はありがたいです。(Q.お店の人はどうですか?)めっちゃ優しいです。いつも疲れている時に(コンビニに)行くことが多いんですけど、けっこう元気もらえます」
フードリボンプロジェクトを通して、森下さんのお店では月に200食ほどが子どもたちに届けられています。
【森下さん】
「本気で“ご飯を食べられない”という子がいるので。涙が出そうになるような子もいるんですけど、そういう子が笑顔になってくれたらうれしいなって思いますね」
地域の人たちの善意が形になったフードリボン。子どもたちの「いただきます」を支えています。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月24日放送)