10月14日、参議院補欠選挙の応援演説のため、岸田首相がいつもどおりのメガネ姿で徳島入りした時のこと。
【岸田文雄首相】
「徳島のみなさん、こんにちは」
「増税メガネ!」(ヤジ)
岸田首相は「増税メガネ」というヤジが飛ぶ中、演説を続けました。
増税メガネとは、政府税制調査会から通勤手当や退職金への課税・増税といったいわゆる「サラリーマン増税」の提言を受け取ったことなどから、ネット上などで「増税しそう」というイメージで岸田首相は、このようにからかわれるようになったのです。
しかし岸田首相が23日の所信表明演説で明らかにしたのは、増税ではありませんでした。
【岸田文雄首相】
「現世代の国民の努力によってもたらされた成長による、税収の増収分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民のご負担を緩和いたします」
円安や物価高によって影響を受けている家計の負担を一時的に和らげる対策で、これには「所得税の減税」が念頭にあると見られています。
岸田総理は10月20日、総理官邸で自民党の萩生田政調会長に、年末の税制改正で所得税減税を検討するよう指示しました。
萩生田政調会長は「恒久減税ではない」と述べ、期限を区切った措置として検討する考えを示しました。
その一方で、所得税減税は所得税率の低い低所得者の世帯にあまり効果がないことから、自民党内には「給付」を求める声もあります。
【自民党 遠藤利明前総務会長】
「私は給付のほうが、より当面は妥当ではないかと。その上で減税するかどうかの議論ですが、(岸田首相は)若干『増税メガネ』ということに少し過剰に反応されていますし、選挙を意識して減税をということもありますが」
このような反応について岸田総理は。
【岸田文雄首相】
「物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々の不安に配慮し、寄り添った対応を計ることがきわめて重要です」
こう述べて、これまでに自治体で行われた、低所得者世帯1世帯あたり3万円の支援のための地方交付金の枠組みを追加的に拡大する方針を示しました。
これで、岸田政権の「国民への還元」の方法は、所得税減税と低所得者世帯への給付という2つが見えてきたことになります。
仮に、所得税が減税されれば、家計にどのような恩恵がもたらされるのでしょうか?
神戸市灘区で子ども3人を育てる西山さんの給与明細を見せてもらいました。
【西山さん】
「これが総支給で、こっちが引かれてる分なんですけど。所得税含め、かなり税金に持っていかれるので苦労してます」
土木系企業の営業部門で働く西山さんは、年に数十万円の所得税が引かれていました。
【西山さん】
「じっくり中身をみたことなかったけど、改めて結構引かれてるんだなって感じてます。もう少しゆるめていただければという思いです」
物価高による食費の高騰に加え、子どもの習い事などにもお金がかかるようになり、家計の出費は多くなっています。
そうした中で、所得税が減税されれば…
【西山さん】
「減税になれば、子どもらにいろんなもの買ってあげれると思います」
‐Q:どれくらい減税されたら嬉しい?
【西山さん】
「半分くらい減税してもらえれば助かります。子どものことが1番ですけど、(減税した分)ちょっとでも小遣いを増やしていただけたらありがたいなと思っています」
今回の所信表明演説では具体論の発表はありませんでしたが、経済ジャーナリストの荻原博子さんは2つの懸念点として「減税までに時間がかかることと、1年程度の期間限定減税では効果がない」と話しました。
果たして、今後私たちの生活に直結するような、実感の持てる減税になるのでしょうか?
(関西テレビ「newsランナー」2023年10月23日)