世界最大級の旅行サイト「ブッキング・ドットコム」で前代未聞ともいえる支払いトラブルが起きています。
奈良市の旅館をもつグループの代表を取材すると、資金繰りが悪化し旅館一軒を手放さなければいけなくなるほど深刻な状況になっていることが分かりました。
■「ブッキング・ドットコム」の未払いは約700万円にも…
世界遺産、興福寺を望むこちらの旅館。
客の大半が観光で訪れる外国人で、そのほとんどがブッキング・ドットコムで予約しています。
この旅館に12日、ブッキングドットコムからこんなメッセージが届きました。
「技術的な問題が発生したため、貴施設へのお支払いができませんでした」
またか…と肩を落とすのは奈良や岐阜などであわせて8つの宿泊施設を経営する「風屋グループ」の松尾代表。実は7月ごろからブッキング・ドットコムからの支払いが滞るようになり、現時点で約700万円が未払いになっています。
■資金繰りから旅館一棟を売却することに
【風屋グループ 松尾政彦代表】
「一番長かった時で丸二ヶ月、支払いがなかった。二度ぐらい本当に閉めようかと思いましたから。もう怒りしかないですよね」
ブッキング・ドットコムは宿泊施設と客をつなげるサイト。予約客が前払いした料金を、宿泊施設側に支払う仕組みですが、その支払いが滞っています。
こうした未払いは全国の宿泊施設で相次ぎ、未払い額は数十億から数百億円規模になる可能性があるといいます。
松尾さんの旅館では従業員に給料を待ってもらったり、取引先への支払いができない事態に陥っています。
さらに…
【風屋グループ 松尾政彦代表】
「うちは旅館一軒売りましたね。運営はそのまま続けるんですけれども、投資家の方に買っていただいて現金化しているような状態です」
資金繰りのために旅館を一つ手放す決断をしました。
11日になって、700万円のうちの60万円だけが支払われましたが、全額支払われない理由について詳しい説明はありませんでした。
■オーナーらが集団訴訟の動きを起こすと連絡が
ブッキング・ドットコムはホームページ上でこのように説明しています。
「予期せぬ技術的な問題が発生したため、一部のみのパートナー各社の皆様におかれまして、支払いの遅延が発生しており、現在緊急に対応させていただいております」
一連のトラブルを受け、松尾さんたち宿泊施設のオーナー約40人は、ブッキング・ドットコムに損害賠償を求める集団訴訟を起こす方針を固めました。
するとブッキングドットコムから連絡がありました。
【風屋グループ 松尾政彦代表】
「一度、直接WEBを使って話をしましょうということになりました。先方の経営者層が一切前に出てこないというのは…。いつまでも後ろに隠れているのではなくて、とりあえず、入金・振り込みを急いでいただくことと、理由の説明が必要です。今後一体どうしていくのか、それを経営者層から説明をいただきたい」
ブッキングドットコム側の誠実な対応が求められます。
(関西テレビ「newsランナー」10月13日放送)