水俣病の症状がある人たちが救済されないのは不当だと訴えた裁判で、国や熊本県が原告の訴えを認めた判決を不服として控訴しました。控訴を受け原告患者が10日午後5時半ころから会見を開きました。
【原告・前田芳枝さん】
「私たち原告を見放した、切り捨てにしたチッソと同じかと聞き怒り心頭です。今回の非道な行為は許されるものではありません」
熊本県など出身の128人が、水俣病の症状があるのに救済制度の対象外となっているのは不当だとして、国・熊本県・原因企業の「チッソ」を相手に訴えを起こしたいわゆる「ノーモア・ミナマタ訴訟」。
大阪地方裁判所で9月、128人全員を水俣病と認め、あわせて3億5000万円あまりの損害賠償を命じる判決が言い渡されていました。
【原告・前田芳枝さん(9月27日)】
「本当にうれしくて、うれしくてたまらないです」
【原告・松尾厚子さん(9月27日)】
「全員の方の救済を願っております」
この判決に対して、原因企業のチッソは先週すでに控訴。 そして10日午後、国は…
【伊藤信太朗環境大臣】
「関係省庁と協議を重ね、判決内容を精査して参りました。国際的な科学的知見や最高裁で確定した近時の判決の内容等と大きく相違することなどから、上訴審の判断を仰ぐ必要があると判断いたしました」
また熊本県の蒲島郁夫知事も会見を開き、控訴すると発表しました。
【熊本県・蒲島郁夫知事】
「過去の最高裁で確定した判決等と大きな相違があると判断いたしました。これは水俣病行政の根幹にかかわる問題であることから、上級審の判断を仰ぐ必要があるとの結論に至ったものです」
9年以上戦い続け、ようやく出た判決。救済を求め裁判がまた続くことになりました。
【原告・前田芳枝さん】
「水俣病被害者はみんな高齢となり裁判途中で亡くなった方もいます。一刻の猶予もありません。被告チッソには控訴せず、早期の救済解決に応じるよう求めてきました」
【原告・本良夫さん】
「水俣病患者の命と体の痛み、つらさ、心の苦しさが少しでも楽になるように一刻も早く救済をして終わらせてください」
被害を訴える人々の戦いはいつまで続くのでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月10日放送)