夏休みが終わり2学期がスタートするこの時期、子供の自殺が増える傾向があります。人知れず悩み、不登校になってしまう子供たち。そんな子供たちが安心して過ごせる「居場所」づくりが今、求められています。
■学校に通えない子供が過ごす“フリースクール”
「フリースクールここ吹田校」では、学校に通えない小学2年生から高校3年生までの約25人が個別に勉強したり、芸術活動などをしたりして過ごしています。この場所への出席は、学校の出席日数にカウントされます。
【心温(こはる)さん 小6】
(Q.学校いつから行ってない?)
「去年の夏休み明け。先生がちょっと苦手だったので、それで夏休み明けても、もう無理だってなりました」
フリースクールの三科さんによると、夏休みが明けた9月から11月が、一年でもっとも相談が多いといいます。
【フリースクールここ 三科元明理事長】
「学校に行けなくなって、夏休み明けにもう一回学校に挑戦するっていう子が、『やっぱりダメ』だと『フリースクールを検討するか』って見学が結構いっぱい来られる時期かなと思います」
取材で訪れた日は、9月に行われる文化祭の準備に追われていました。
中学1年の岩崎一翔さんは、小学4年のころ、学校に行くのがつらくなりました。
【岩崎一翔(かずと)さん 中1】
「いじめもありましたし、勉強のスピードが速くてきつかったですね。最初は『少しでも学校行かないと』と思ってたけど、6年生の夏休みが終わって9月に完全に行かなくなって」
学校に行けず、家で過ごす時間は苦しかったと話します。
【岩崎一翔さん】
「学校近くなんですけど、チャイム結構きつかったですね。学校のチャイムが。学校行かないと!ってなっちゃうのがきつい」
その後、父親が見つけてくれたこの場所に、去年の秋から通い始めました。
【岩崎一翔さん】
「勉強とかも自由にマイペースにできるっていうのがいいことでしたね。結構気持ち変わりました。こういう学校でもいいんだって思いました」
8月27日、子供たちがやってきたのは、徳島市の海岸。フリースクールのイベントでサーフィンをしに来ました。子供たちを教えるのは、卒業生の保護者です。
【サーフィンを指導する保護者】
「波が来た時にこうしたらあかんで。ガンとあたるから」「波に対してまっすぐボードを」
岩崎さんはサーフィン初挑戦です。
【岩崎一翔さん】
「難しかったです。楽しいけど、難しい。プールでは味わえない難しさあります。サーフィンとかもプールじゃできませんし、海も好きだなぁと思いました」
【フリースクールここ 三科元明理事長】
「一番は学校が唯一の選択肢ではないっていうこと。いろんな大人とか居場所とかを探して作って、何か困ったときに、ここが合わへんかったら次ここがあるからいいやとか、相談はこっちにはできひんけども、この人にはしようみたいなことがどんどん増えていけば、その子の自立につながるのかなと思って活動はしてます」
■オンライン上に子供たちの居場所を作る取り組みも
不登校の子供たちの居場所をオンライン上に作ろうという取り組みも進んでいます。
【パソコンからの声】
「みなさんおはようございます。相変わらずこんな声でごめんね」
大阪府・八尾市が取り組むのは、仮想空間を活用した学習支援です。市立の小中学校に在籍する不登校の子供たちが対象。顔や名前を出すことなく、好きなキャラクターのアバターを使って、自宅から参加します。
【パソコンからの声】
「そろそろきょうの勉強の方へ行こうと思うねんけど」
間違い探しなどの簡単なゲームから、漢字や計算問題など子供たち自身が学びたいことを教員経験のあるスタッフと一緒にオンラインで学習します。ここで行った学習の記録は在籍している学校に報告され、各学校長の判断で、出席扱いになるということで、現在、6名の中学生が登録しているということです。
【八尾市教育センター 打抜真由美所長】
「家から出づらい、外の世界とつながりづらい子供たちが、オンラインを活用することによって、いろいろなきっかけになったりとか、子供たちの気持ちのエネルギーをためるきっかけになるようなお手伝いができたらと思って進めています」
フリースクールに居場所をみつけた岩崎さん。夏休み明けの今、悩んでいる子たちに伝えたいことは?
【岩崎一翔さん】
「不登校が悪いっていうイメージがある。不登校でも学べる場所はあって、人とコミュニケーションとれる場所はあるので、『こうすればいいじゃん!』っていうんじゃなくて、『ちょっと1回落ち着いて、その後に考えよう』って言います。『誰かに相談したら?』とか、『こういう所あるよ』とか。逆に無理して来てはほしくない。自分のペースでやったほうが」
「学校に行くのがつらい」そんな子供たちが安心して過ごせる「居場所」づくりが、求められています。
■周りの方に相談できない場合などは「24時間 子供 SOS ダイヤル」も活用を
周りの方に相談できない場合などは電話で相談できる窓口もあります。文部科学省の取り組み「24時間 子供SOSダイヤル」ではそれぞれの地域の相談窓口に、夜間・休日含めて24時間対応してくれます。1人で悩まずに相談するようにしていただけたらと思います 。
「24時間 子供SOSダイヤル(文科省の取り組み)」
0120-0-78310(ゼロイチ二―ゼロ、ゼロ、なやみいおう)
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月28日放送)