「ザ・ドキュメント 裁かれる正義 検証・揺さぶられっ子症候群」が 第27回坂田記念ジャーナリズム賞を受賞

2020年3月4日(水)

関西を拠点にした優れた報道活動に贈られる、第27回坂田記念ジャーナリズム賞 第1部門(スクープ・企画報道)に、当社が制作・放送した「ザ・ドキュメント 裁かれる正義 検証・揺さぶられっ子症候群」が選ばれました。

受賞作品詳細

タイトル
放送日時
2019年11月11日(月)深夜1:55~2:57
スタッフ
ナレーション 豊田康雄 / 撮影 平田周次 / 編集 室山健司 / ディレクター 上田大輔 / プロデューサー萩原守
番組概要
生後2か月の孫を揺さぶり死亡させた罪で、祖母に懲役5年6カ月の判決が下った。根拠は、脳に関する所見から「揺さぶり」を説明出来るとする「SBS(揺さぶられっ子症候群)理論」。しかし海外では、この学説の根拠が否定され、疑われた親たちが無罪となるケースも相次いでいた。
二審からは、SBSでの冤罪をなくす事を目指す「SBS検証プロジェクト」のメンバーが弁護側についた。専門家と検討を加えていく中で、一審で見落とされていた一つの可能性が浮上する…。この裁判で裁かれたのは何だったのか?虐待事件の捜査、 虐待専門医の診断、そしてメディアの報道…。それぞれの「正義」がたどった軌跡を検証する。
「ザ・ドキュメント 裁かれる正義 検証・揺さぶられっ子症候群」
「ザ・ドキュメント 裁かれる正義 検証・揺さぶられっ子症候群」
受賞理由
冤罪をあつかったドキュメンタリーはいくつもあったが、これは訴求性の高い番組になっている。有罪の論拠になった「症候群」について、工学的実験や外国人専門医の証言を紹介しつつ、診断ミスでありうることが説得性をもって伝わってくる。虐待の事実を傍証するものはない。冤罪報道というよりは、科学的謎解きのように、検察側、弁護側、さらには医学界の取材も丁寧に行っていて、極めて分かりやすい内容でもある。
児童虐待非難の風が強い中、異なる視点から粘り強く取材を継続したことも、民放ジャーナリズムとして高く評価できる。単純な白か黒かではなく、「法理の鉄則である、よくわからないという真実を見詰めなければならない」という、被告弁護人の声が印象深い秀作である。