2019年11月11日(月)深夜1:55~2:57

受賞
坂田記念ジャーナリズム賞 第1部門
日本医学ジャーナリスト協会賞 優秀賞
内容
「なぜ何もしていないのに、こんな判決を受けなくてはいけないのか…」判決後、ぼう然とする山内泰子さん。

一審判決の根拠になったのが、検察側医師として法廷に立った児童虐待に詳しい小児科医の証言だった。
「火事場のばか力でリミッターが外れた状態ですから、十分に起こり得る…かなり強い揺さぶり行為を加えたことは医学的にはおそらく間違いない」
この証言の拠り所になったとみられるのが「SBS理論」。3つの症状(硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫)があれば、揺さぶられっ子症候群(SBS)である可能性がきわめて高いと診断できるという考え方である。
山内さんに一審判決が下された同じ日。くしくもSBS理論を検証するために結成されたプロジェクトが初めての研究会を開催していた。


弁護団は、山内さんが無実であるとの確信を胸に、証拠資料を一から見直していく。すると、一審で見落とされていたある事実が判明していく—。

2018年にはアメリカ小児科学会、日本小児科学会など複数の学会が「虐待による頭部外傷(AHT)に関する共同合意声明」を公表し、SBS裁判における弁護人や弁護側医師を厳しく批判。山内さんの裁判も、こうした国際的なSBS論争の渦に巻き込まれていく—。

番組は、山内さんの控訴審での弁護活動に密着。この裁判を通して、医師、弁護士、検察そしてメディアの「正義感」が行きついた先を検証する。
法廷で裁かれるのは、いったい誰なのだろうか—。
スタッフ
カメラマン: 平田周次
編集:室山健司
プロデューサー:萩原守