ザ・ドキュメント

2019年11月11日(月)深夜1:55~2:57

内容

2017年10月、大阪地裁で生後2か月の孫を暴行して死亡させた罪に問われた67歳の女性に懲役5年6カ月の実刑判決が言い渡された。

「なぜ何もしていないのに、こんな判決を受けなくてはいけないのか…」判決後、ぼう然とする山内泰子さん。

山内泰子さん

「孫が生きがい」と語る山内さん。あの日もわずか1時間半ほど孫を預かっていただけなのに、なぜ激しく揺さぶって虐待したと判断されてしまったのか?

一審判決の根拠になったのが、検察側医師として法廷に立った児童虐待に詳しい小児科医の証言だった。
「火事場のばか力でリミッターが外れた状態ですから、十分に起こり得る…かなり強い揺さぶり行為を加えたことは医学的にはおそらく間違いない」
この証言の拠り所になったとみられるのが「SBS理論」。3つの症状(硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫)があれば、揺さぶられっ子症候群(SBS)である可能性がきわめて高いと診断できるという考え方である。

山内さんに一審判決が下された同じ日。くしくもSBS理論を検証するために結成されたプロジェクトが初めての研究会を開催していた。

「SBS検証プロジェクト」の笹倉香奈教授(左)と秋田真志弁護士(右)

「SBS検証プロジェクト」。刑事弁護の第一人者・秋田真志弁護士と刑事訴訟法の研究者・笹倉香奈教授が中心となり、海外で見直しが進むSBS理論によって国内で冤罪が生じていないかどうか検証活動を開始。山内さんの控訴審の弁護は、検証プロジェクトのメンバーが中心となって担当することになった。

弁護団会議の様子

山内さんの弁護団が、まず疑問に思ったこと。それは、常識的に考えて小柄な山内さんが「1秒間に3往復」という激しい揺さぶり行為ができるのかということ。
弁護団は、山内さんが無実であるとの確信を胸に、証拠資料を一から見直していく。すると、一審で見落とされていたある事実が判明していく—

弁護団が鑑定を依頼した朴永銖医師(左)と埜中正博医師(右)

一方で、SBSをめぐる医学論争は激しさを増していく。
2018年にはアメリカ小児科学会、日本小児科学会など複数の学会が「虐待による頭部外傷(AHT)に関する共同合意声明」を公表し、SBS裁判における弁護人や弁護側医師を厳しく批判。山内さんの裁判も、こうした国際的なSBS論争の渦に巻き込まれていく—。

「虐待による頭部外傷(AHT)に関する共同合意声明」

“祖母が孫を激しく揺さぶったのかどうか”が医学論争で決まるという、異例の経過をたどった山内さんの裁判。

番組は、山内さんの控訴審での弁護活動に密着。この裁判を通して、医師、弁護士、検察そしてメディアの「正義感」が行きついた先を検証する。
法廷で裁かれるのは、いったい誰なのだろうか—

スタッフ

ディレクター:上田大輔
カメラマン: 平田周次
編集:室山健司
プロデューサー:萩原守

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