2023年7月7日(金)深夜1:25~2:40
引き裂かれる家族~検証・揺さぶられっ子症候群~

受賞

ギャラクシー賞 入賞
貧困ジャーナリズム賞
第15回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル コンペティション部門・大賞

内容

「ふたつの正義」「裁かれる正義」に続く“検証・揺さぶられっ子症候群”シリーズ第三弾
家族を引き裂く「虐待冤罪」 被害の全貌を描くドキュメンタリー

引き裂かれる家族
写真家の赤阪友昭さん。2017年に家族4人の平穏な暮らしが一変する。
赤阪さんが大阪市内の自宅で当時生後2ヶ月の長男をあやしていた時、長男が急変し喉に何かが詰まった様子に。助けようと長男の背中を叩いたが、容態は改善せず、119番通報。病院で、長男には硬膜下血腫や眼底出血が見つかった。

長男の退院予定だった日、長男は児童相談所に一時保護され、赤阪さん夫妻には居場所すら教えられなかった。赤阪さんが疑われたのは、揺さぶられっ子症候群、通称SBS(Shaken Baby Syndrome)。病院の通報により、赤阪さんが長男を暴力的に激しく揺さぶったと疑われていた。

赤阪さん夫妻は、「祖父母との同居」などを提案して長男を一日でも早く家庭に戻してほしいと訴え続けたが、児童相談所は「虐待前提」の対応を変えようとしなかった。
そして、長男不在の赤阪さん家族にさらなる試練が襲いかかる。長男への傷害容疑で赤阪さんが逮捕され、その後起訴される。刑事裁判は長期化し、その間、児童相談所は父親と長男の同居を制限し続け、赤阪さんは、4年以上も家族離ればなれの生活を余儀なくされた。
引き裂かれる家族
赤阪さんと同じく、2017年にSBSを疑われ、愛する子供と長期にわたって引き離された家族がいる。菅家(かんけ)さん夫妻。当時生後7ヶ月の長男が自宅でつかまり立ちから転倒して、急変。救急搬送されたが、硬膜下血腫や眼底出血が見つかる。病院は「家庭内での転倒では起こらない症状」だとして、児童相談所に通報。その後、長男は一時保護され、自宅に戻ってきたのは1年4ヶ月後のことだった。

2010年代に大阪を中心に急増したSBS事件での逮捕・起訴。しかし、2017年「SBS検証プロジェクト」の登場により、SBS裁判で「揺さぶり」を否定する無罪判決が続出し、有罪率99.8%の日本の刑事裁判で前代未聞の事態に。その過程で明らかになったのは、「虐待ありき」のSBS診断、「福祉警察」と化した児童相談所、そして「人質司法」に象徴される日本の刑事司法の問題…。

「虐待冤罪」を経験したふたつの家族を通して、育児環境を取り巻く深刻な現状がはっきりと浮かび上がる。

ナレーション

豊田康雄(カンテレアナウンサー)

スタッフ

ディレクター
:上田大輔
撮影
:平田周次
編集
:室山健司
プロデューサー
:萩原 守
宮田輝美