2021年9月24日(金)深夜1:25~2:25
羅針盤を探して ~僕とコロナと地域医療~
内容
僕たちが宝塚市立病院の取材を始めたのは、2020年4月21日のことだ。
兵庫県宝塚市にある病院は、市内唯一の公立病院で地域の医療の中核を担っている。
兵庫県宝塚市にある病院は、市内唯一の公立病院で地域の医療の中核を担っている。
新型コロナウイルスの感染拡大という大海原に投げ出された地域医療は、羅針盤のない航海を続けるしかなかった。検査態勢の脆弱さや感染から身を守るためのマスクの不足。今になって振り返れば、驚くような態勢で地域の病院は未知のウイルスと闘っていた。
この病院の感染対策を一手に担っているのが、小林敦子医師。宝塚市で唯一の感染症専門医だ。
「ここを塞げば、別の場所から。コロナはいつも痛い所を突いてくる。」
小林医師は、よくそう言って頭を抱えていた。病院が一番恐れていたのは、院内感染だ。
感染拡大の第3波。これまでとは別次元の大きな波に病院は飲み込まれる。
院内感染によるアウトブレイクが起きたのだ。そして、僕たちは取材に入れなくなった。
「ここを塞げば、別の場所から。コロナはいつも痛い所を突いてくる。」
小林医師は、よくそう言って頭を抱えていた。病院が一番恐れていたのは、院内感染だ。
感染拡大の第3波。これまでとは別次元の大きな波に病院は飲み込まれる。
院内感染によるアウトブレイクが起きたのだ。そして、僕たちは取材に入れなくなった。
大阪府・兵庫県の医療が危機的な状況に晒されたのは第4波だ。重症病床がパンクし、本来は重症患者を受け入れていない地域の病院が治療せざるを得なくなった。僕たちは、大阪府堺市の病院に取材に入る。そこで目を疑った。重症の患者の中に30代の男性がいたからだ。でも、転院先が見つからない。「救える命が救えないかもしれない」という重圧が医療従事者たちを苦しめていた。
再び、宝塚市立病院の取材の許可が下りたのは、第4波が落ち着き始めた2021年6月のこと。
そこで初めて、多くの医療機関で命の選別を行わざるを得なかった現実を知ることになる——。
新型コロナウイルスと向き合った、地域医療の1年半を見つめる。
そこで初めて、多くの医療機関で命の選別を行わざるを得なかった現実を知ることになる——。
新型コロナウイルスと向き合った、地域医療の1年半を見つめる。
スタッフ
- ディレクター
- :髙橋亮光
- 撮影
- :工藤雄矢
- 編集
- :北山 晃
- プロデューサー
- :宮田輝美