2021年8月20日(金)深夜1:25~2:25
となりのミライジン

となりのミライジン

受賞

坂田記念ジャーナリズム賞 第1部門

内容

「選べなかった人生」のまま、終わらせない。
こんなミッションを掲げた小さなITベンチャー 「ミライジン ラボ」。
開発者たちはTシャツに短パン。リモートでしか登場しないメンバーもいる。
彼ら「ミライジン」には特徴がある。「今の社会」で働くことは苦手だけど、スゴイ能力を秘めている。
代表は小林宏樹
代表は小林宏樹さん。大企業のデータサイエンティストだった。
職場環境に恵まれチームのエースとして活躍。でも仕事をしている自分をなぜか好きになれなかった。
2年前、会社を退職し、「ミライジン ラボ」を設立する。
きっかけは、10年以上引きこもっていた友達が「自分よりスゴイ」能力を秘めていると知ったこと。
ミライジン ラボ
友達の才能を活かすことに成功した時、自分のことを初めて好きになれた気がした。
自分の役割はこれだと社会に目を向ける。

高学歴なのに就職できない「引きこもり」や「発達障害者」が増え続けている。
彼らは「未来の社会」では尖った戦力になるはずだ。
この中に自分が活躍させられる「ミライジン」がいるんじゃないか?

しかし悟った。
一旦殻に籠った彼らを活躍させるのは並大抵ではない。
次に出会った「ミライジン」は本を出版するほど優秀なプログラマー。でも大学院時代から精神障害に苦しみ、仕事に手を付けられない日々を送っていた。彼は発達障害とも診断される。
「今の社会」で彼を活躍させることは難しい。
ならば「未来」に新たな働き方の枠組みを作ることはできないか?
小林さんは国にプロジェクトを提案し、採択される。
模索の中のチャレンジが始まった—

戸惑いながら今の社会に挑んだ「ミライジン ラボ」の3年間を描く。

ナレーション

ムロツヨシ
ムロツヨシ
コメント

Q.今回の番組について感想を教えてください。

こういう世界がある、こういう人材がいる、こういう会社がある、こういう仕組みがあるということを一人でも多く知ってもらえたらいいなと思います。
障害にはいろんな形があると思いますが、その方たちが生きていく中での選択肢が一つでも増えればという想いでこの番組に参加させていただきました。

Q.誰か共感できると思った人はいましたか?

共感というのは難しくて、簡単にしてはいけないなと思っています。共感しないという意味ではありません。「共感します」と簡単に言えるほどの物事ではないからです。みなさんの知らない僕がいるように、まだまだ僕が知らない皆さんもいるので、ミライジンの方たちのことも「全て理解できる」と言ってはいけないと思います。
ただ、「働きたい意志」には共感します。働くことがポジティブな影響をもたらすこともあるので、色んな立場の皆さんにとってやりがいのある仕事、やりたいと少しでも思える仕事が見つかるといいなと思います。

Q.「ミライジン」のような人たちが周りにいたらどう思いますか?

役者の世界でも生き方が下手な人間ほど魅力的になったりすることもあります。器用に見えて、実は一つの夢を追ったばかりに不器用ですし、セルフコントロールができていないという人たちもいます。僕もその中の一人だと思う。
だから、そばにいなきゃいけない時もありますし、僕も誰かを救う側でいるためには、何かしらやって、ある意味元気であったり、ある意味仕事を楽しくして、隣で誰かがもし一回止まってしまったら、「またこっちおいで」と言える自分でいなきゃいけないので。すごく言い方が難しいですが、今回のミライジンのような方々がいることが特に僕は不思議には思わないです。
うつ病というのは自分も含めてとても近くにいる存在だと思います。だからといってどう接していいかすべてわかっているわけではありません。なので、小林さんみたいに会社を起こして、しかも自宅の隣にオフィスというか場所を作るという人生の選択は素晴らしい、カッコイイ。そして、簡単に言葉で言い表せない大変さがあるんだろうなと思います。

スタッフ

ディレクター
:宮田輝美
撮影
:本中貴久
編集
:宮村泰弘
プロデューサー
:萩原 守