2017年7月8日(土) 深夜1:45~2:40

閉じ込められた命 ~語り始めたハンセン病家族たち~

内容

兵庫県尼崎市に住む黄光男ファングァンナムさん(61)。
黄さんには長年、心の中に閉じ込めていた“秘密”がありました。
それは、母親が過去に患っていた病気「ハンセン病」のことでした。
ハンセン病は、完治する病で遺伝しませんが、かつては「らい病」と呼ばれ、恐れられました。
見えるところに症状などが現れ、患者は嫌われました。
国は、法律を作って患者たちを強制隔離し、“根絶”させようとします。
患者を見つけるために、市民を巻き込み「県内の患者をゼロに」を目指しました。
その過程で、家族までもが激しい差別の対象となっていきました。
多くの家族が差別を恐れ、絶縁するほどでした。
黄さんの母親も、その渦に巻き込まれ、「隔離の島」に連れて行かれました。
黄さんが両親に再会したのは、9歳のとき。
病名を聞かされ、「誰にも言ってはならない」そう感じました。
知られたら、差別の対象となってしまうことは明らかでした。
隔離や病歴について、黄さんは避けるようにして大人になりました。
「自分たちも元患者と同じように深刻な被害を受けてきた―」
去年春、元ハンセン病患者の家族たちが国を相手に裁判を起こしました。
その過程で、家族は、自らの被害や人生を見つめなおしています。

父に親孝行が出来なかったと悔やむ80代の男性。
母親が中絶を強いられ、失敗して生まれたと知った50代の女性。

黄さんも、両親の人生に、病気よりももっと“壮絶な秘密”があったことを知りました。
だからこそ、母は苦しみ、息子である自分に多くを語ることができなかったと分かりました。

あの時、母親は、父親は、どんな気持ちで僕のことを思っていたのだろう…。

番組では、親子の絆をつむぎなおそうとする「元患者の子どもたち」の姿を、見つめます。

スタッフ

ディレクター:柴谷真理子(カンテレ 報道局報道センター)
撮影:本中貴久(カンテレ 報道局報道映像部)
編集:樋口真喜
プロデューサー:兼井孝之(カンテレ 報道局報道センター)

【ナレーション】竹下景子