2015年3月8日(日)深夜1:35~2:30

受賞
地方の時代映像祭 選奨
内容

長谷川さん一家は、母の規子さんと1歳の三男・翔人くんを亡くし、お父さんの博也さんが長男・元気さん(中1)、次男・陽平さん(小6)を男手ひとつで育てていた。思春期の入口に立つ二人の男の子を前に、伴侶を失ったお父さんが迷いながら子育てに格闘していた。


震災当時8歳と7歳だった兄弟は28歳と27歳に。長男・元気さんは神戸市で小学校の先生をしている。次男・陽平さんは編集プロダクションのライター。
お父さんの博也さんは63歳、従来通り自宅で塾を経営している。
あの日別れも言えず、突然旅立った家族への思いを、3人はそれぞれの方法で持ち続けていた。



誘われて、語り部も始めた。読み上げるのは中学1年のときに書いた作文。地震当日、何度もお母さんを呼んだのに返事はなかった。元気さんは、この作文をきっかけに、語ること、想いを伝えることで自分の心が整理されることに気付いた。

遺体と対面した時の光景は今も瞬時に浮かぶ。


「慰めてくれる人には悪いけど、遺族にしかわからない思いがある」。


「人は何のために生きるのだろう」。その問いを、担任するクラスの子どもたちに持ち帰る。これから教師として、子どもたちとともに学んでいくつもりだ。


20年を生き抜いてきた姿は東日本の被災地の人々の希望にもなると受け止められた。
人は時に、思いもよらない困難に出くわすが、それでも生きていかねばならない。
20年の月日を歩んできた長谷川家のそれぞれの想いを伝えて、命と向き合う防災の原点としたい…そんな思いでつくったドキュメンタリー番組。

プロデューサー:兼井孝之(関西テレビ報道番組部)