2014年3月2日(日)深夜2:20~3:15

”空飛ぶ診療所”きょうも開業中!? ~90歳の夫はラジオパーソナリティー~

受賞

日本民間放送連盟賞 近畿地区報道部門 審査員特別賞

企画意図

人口の24%以上を65歳以上の高齢者が占める超高齢社会・日本。多くのお年寄り、その予備軍が将来に不安をもって生きています。この番組は「どう老後を生きるか」、「人生・最終章」をともに考えるドキュメンタリーです。

番組内容

毎週土曜の午前5時。夜も明けないうちに、京都御所に近いKBS京都ラジオに人が集まってくる。よく見ると年配の方々が多い。公開生放送の「早川一光のばんざい人間」の見学者。早めに来て椅子や机まで用意し、番組の中では声の出演もこなす。見学者というより、番組をこよなく愛する参加者だ。
番組を仕切るラジオ・パーソナリティは早川一光さん。90歳とは思えない勢いのあるトーク、立ったまま2時間余りの生放送を進行し、背中はいつも伸びている。AMラジオで国内最高齢のパーソナリティで、語るのは「自立して生きる、自分の体は自分で守る、そして共に生きる」ことの大切さ。
本業はお医者さん。長年、京都・西陣で往診する姿から「わらじ医者」と呼ばれ、京都では有名人。NHK連続ドラマのモデルにもなった。近年は「老い」や「死」などに関する講演や著書が多い。

今回のドキュメンタリー番組は、久しぶりの長期にわたるテレビ取材だ。「90歳になり、高齢者の気持ちがわかる」からこそ、「伝えたい事がある」という。
私たち取材班に毎回、「取材の提案」と書いたレジュメを用意し、「取材のポイント」を伝えてくれる。「後世に遺すもの」、「遺してはいけないもの」、「やり残したこと」、「たどり来し道」。そのレジュメを参考に取材を進めてみた。早川さんが用意したレジュメのタイトルは「わらじ医者夫婦の死への準備」だった。
早川夫妻は、このドキュメンタリーを“特別な場”と考えてくれた。私達は遠慮なく、普段の暮らしをカメラに収めた。「人生最終章」の記録ということかもしれない。日常会話のなかに「遺すべきもの」、そのメッセージがたくさん込められていたように思う。
取材の終盤、ちょっと驚く提案を受けた。実現する日は、何年も先であってほしいが、その本心を理解するのに、私たちはまだ若すぎるのかもしれない。
この番組は、早川夫妻と子供や孫くらい年の離れたTVスタッフが一緒に作ったドキュメンタリー。見る人の立場や年齢で、受け止め方は全然違うだろう。それぞれの立場で、「生きる」ということを考えていただければと願う。