2014年1月26日(日)深夜1:20~2:15 (2018年6月6日(水)午前4:30~再放送)

声なき声によりそって ~地域福祉の現場から~

受賞

坂田記念ジャーナリズム賞 第1部門特別賞

内容

この番組は、大阪府豊中市社会福祉協議会でCSW(コミュニティソーシャルワーカー)として働く勝部麗子さん(地域福祉課長)の活動を追うドキュメンタリーです。
CSWは2004年に大阪府が独自にスタートさせた、既存の福祉サービスでは対応が難しかった問題の解決に取り組む役職です。学区ごとにある福祉相談窓口に寄せられた相談に対応する福祉の専門家で、地域住民と行政と間に位置します。
勝部さんのもとには、毎日様々な相談が持ち込まれます。ゴミ屋敷、引きこもり、障害者参加スポーツの促進、生活困窮者の就業支援、孤立など、地域が抱えるあらゆる問題に向き合います。信条は「排除しない」ということ。相談はともすると「あの“困った人”をなんとかしてほしい」という形で寄せられます。勝部さんは「困った人」は「困っている人」だと受け止めて、排除せずに支援を始めます。「困った人」は多くの場合、既存の制度の狭間に落ち込んだ、社会的孤立に悩む人であり、社会問題の芽がどこにあるのかを表す存在とも言えるのです。
アベノミクスで地方にも景気回復が広がるなか、格差や貧困、高齢者の孤独など、指摘されて久しい問題に好転の兆しはありません。番組はこうした問題に向き合う福祉の現場を今一度見つめます。

古い地域社会が失われつつあることを嘆く人たちがいます。勝部さんは昔に戻ることが解決ではないと言います。新しい社会の課題には新しい解決の方法が必要で、そこにプロが創造的に仕事をすべき領域ができている、自分はその分野のプロだと自覚しています。寄せられた相談から逃げず、新しい課題に果敢に挑む勝部さんの姿を見れば、福祉はクリエイティブな仕事なのだと気付けます。「排除の論理」ではなく、「排除しない決意」が新しいものを生むと言えるのではないでしょうか?

勝部さんのキーワードは、「無縁社会から創縁社会に」。勝部さんが取り組む事例の問題解決への過程を取材し、地域社会の新しい問題について、じっくり考える番組をお届けします。