2011年6月4日(土)午前 10:50~11:45

高校4年の春

企画意図

いま定時制高校の在り方が変わってきている。生徒のニーズが変わってきたからだ。定時制と言えば、かつては就労しながら、夜間に学ぶ生徒のためだったが、今は別の理由で通う生徒が増え、その事情に合わせて昼間(ちゅうかん)や単位制など多様な定時制高校が増えてきている。今の10代が定時制高校を選ぶ理由は何なのか。いま学校に求められている役割はどのようなものなのか、番組を通して考えたい。

番組内容

京都府南丹市美山町。かやぶき屋根の残る町に「北桑田高校 美山分校」はある。京都府全域から入学可能な定時制高校で、全校生徒はおよそ40人。全日制の学校と変わらない日中に授業が行われているが、4年かけて卒業する定時制高校である。
今、定時制高校には「不登校」を経験した生徒、支援学級を出た生徒などが集まる傾向がある。
この美山分校に通う生徒の多くも、中学時代に辛い体験をしてきている。この春4年生になったクラスの生徒は6人。そのうち、半数以上が不登校を経験している。中学時代、学校になじめなかったり、教室に入れず保健室で勉強していた生徒。しかし、今の彼らからその苦しみは感じられない。
地元の知人から離れて「新たなスタートを切りたい」と願って入ってきた生徒の思いをこの公立高校は大切にしている。一見すると、高校の授業とは思えないくだけすぎる場面もあるが、それを受け入れている教師たちにはそれなりの考えがある。教師が一番大切にしているのは、年間のスケジュールをこなす事ではなく、彼らが社会で生きていくための力をつけること。その一点だ。だから、この学校では、生徒の気持ちを無視して授業を進めない。
この穏やかな雰囲気の4年間の高校生活を通して、生徒達は他人と関わる自信をつけていく。わからないまま進んでいく授業ではなく、わかるまで向き合ってくれる先生と出会い、多くの生徒が学校に対する思いを変えている。
この学校で自分自身が変わったと語る生徒の姿や授業の様子を通して、いま学校に求められるものを考えてみたい。

スタッフ

撮影:小松和平(報道映像部)
助手:浅野智恵(エキスプレス)
編集:芳本武(遊写)
MA:山岡正明(東通AVセンター)
効果:中嶋泰成(テレコープ)
ディレクター:柴谷真理子(報道番組部)
プロデューサー:土井聡夫(報道番組部)