2006年10月31日(火)
平成18年度文化庁芸術祭参加作品 類人猿ボノボの棲む森で

類人猿ボノボの棲む森で

受賞

坂田記念ジャーナリズム賞 第2部門
ヒューストン国際映画祭 ネイチャー&ワイルドライフ部門金賞

内容

初期の人類に最も近く、ヒトと98%以上同じ遺伝子を持つ類人猿・ボノボ。

闘争的なチンパンジーとは違い、殺し合いをせず類交尾行動(繁殖目的以外の性交渉)を頻繁に繰り返すことで、グループ内の緊張を緩和し争いを未然に防ごうとするボノボは、人類の進化や、暴力のない平和な社会を考えるときに不可欠な存在です。そんな平和主義の類人猿・ボノボは、アフリカ・コンゴに細々と生息しています。
ところがここ10年のコンゴ民主共和国(旧ザイール)の内戦により、「最後の楽園」と呼ばれるワンバの森に住む野生ボノボが絶滅の危機に瀕しています。

「ヒトらしさとは何か?」林原類人猿研究センター所長・伊谷原一博士は、人類の進化や、暴力のない平和な社会を考えるのに不可欠な存在であるボノボを、20年前から研究してきました。

しかし10年前、内戦が全土に波及し命からがら逃れ帰国してきました。伊谷博士は、内戦で閉ざされていた野生ボノボの調査を再開するため、首都を離れ、およそ千キロ北東に位置する赤道直下の森・ワンバに向かいます。
ワンバの森一帯は、コンゴ政府と日本人研究者の協力により保護区に指定され、ボノボなど絶滅危惧種の捕獲は禁止されているはずでした。しかしボノボの最後の楽園といわれるこの森にも戦争の魔の手が忍んでいたのです。
(この番組は、8月20日放送分を追加取材し、再編集したものです。)