2006年5月25日(木)
事故調査 ~JR福知山線脱線事故1年~
内容
2005年4月25日兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線の脱線事故。乗客ら107人が死亡、550人以上が負傷しました。
遺族の多くが「なぜ事故は起きたのか?事故の真相を知りたい」と話します。現在、事故調査委員会による調査と、警察の捜査が平行して行われています。事故原因はもちろん、事故の背景に何があるのか、行政のあり方には問題がなかったのかなど、解明すべきポイントはいくつもあります。日本の事故調査はこうしたポイントを解明できるのでしょうか。
遺族の多くが「なぜ事故は起きたのか?事故の真相を知りたい」と話します。現在、事故調査委員会による調査と、警察の捜査が平行して行われています。事故原因はもちろん、事故の背景に何があるのか、行政のあり方には問題がなかったのかなど、解明すべきポイントはいくつもあります。日本の事故調査はこうしたポイントを解明できるのでしょうか。
突然の事故で最愛の人を失った遺族らは、つながりを求めて“4・25ネットワーク”を作り、JR西日本と向き合います。しかし、自らの説明責任を果たそうとしないJR西日本の対応は、さらに遺族を苦しめるばかりです。遺族らを支援する佐藤健宗弁護士は、こうした遺族らの姿に胸を痛めます。佐藤弁護士は15年前の信楽列車事故の際、遺族側の弁護団に参加し、JR西日本の企業体質を痛感していたのです。裁判でも自らの責任を認めなかったJR西日本。これではまた事故が起きる…そう思い、信楽列車事故の遺族らとともにTASK(鉄道安全推進協議会)を設立し、鉄道の安全を訴え続けてきました。
その結果、航空部門しかなかった日本の事故調査委員会に、5年前ようやく“鉄道部門”ができたのです。
その結果、航空部門しかなかった日本の事故調査委員会に、5年前ようやく“鉄道部門”ができたのです。
しかし事故調査委員会ができた今でも、日本の事故調査は大きな問題を抱えています。ひとつは「調査と捜査の壁」。日本では再発防止のための「調査」より、個人の責任を追及する「捜査」が優先される現状があります。鉄道事故のような組織が招いた大事故では、法制度の限界があり、捜査ではなかなか企業体質や行政の不備など、事故の背景までは明らかになりません。
もうひとつの問題点は「事故調査委員会が国土交通省の傘下にあること」です。JR西日本の“ゆとりのないダイヤ”などを是正してこなかった国土交通省をはじめ、行政の不備をきちんと指摘しようとするならば、調査機関は監督官庁から独立した組織であるべきではないでしょうか。
こうした問題点の解決策を求めて、佐藤弁護士は、事故調査の先進国オランダ視察を決めます。
もうひとつの問題点は「事故調査委員会が国土交通省の傘下にあること」です。JR西日本の“ゆとりのないダイヤ”などを是正してこなかった国土交通省をはじめ、行政の不備をきちんと指摘しようとするならば、調査機関は監督官庁から独立した組織であるべきではないでしょうか。
こうした問題点の解決策を求めて、佐藤弁護士は、事故調査の先進国オランダ視察を決めます。
オランダも鉄道事故の重い歴史を背負っています。しかしオランダでは繰り返される事故の再発防止のため去年、事故調査制度の一大改革に成功しました。調査と捜査の壁や、調査機関の独立問題などを一挙に解決しました。
多くの先進国同様、国の監督官庁から独立した事故調査機関を設け、事故の再発防止を見据えた徹底的な調査が行われるようになったのです。大切な人を一瞬にして奪われた遺族の人たちにとっても、「事故原因究明による再発防止」は「責任の追及」と同様にその心情に沿ったものです。
オランダには、日本の事故調査に決定的に欠けている「被害者の視点」がありました。事故という失敗から教訓を学ぶ社会の姿がありました。佐藤弁護士はこれら視察内容を国会で報告、あらめて“事故調査の独立”の必要性を訴えます。
事故から1年が経ちますが、遺族や負傷者らの心の傷は癒えません。安全以上に優先されるものは何も無いはずです。番組では、事故の遺族や被害者の悲痛な思いとともに、再びあのような大惨事を起こさないためにはどうすればよいか考えたいと思います。
オランダには、日本の事故調査に決定的に欠けている「被害者の視点」がありました。事故という失敗から教訓を学ぶ社会の姿がありました。佐藤弁護士はこれら視察内容を国会で報告、あらめて“事故調査の独立”の必要性を訴えます。
事故から1年が経ちますが、遺族や負傷者らの心の傷は癒えません。安全以上に優先されるものは何も無いはずです。番組では、事故の遺族や被害者の悲痛な思いとともに、再びあのような大惨事を起こさないためにはどうすればよいか考えたいと思います。