2005年12月8日(木)

受賞
日本民間放送連盟賞 テレビ教養番組・優秀賞
内容



その翌朝、ツバキの様子が急転します。陣痛です。研究員はツバキを別室に隔離し、出産準備を整えます。目の届くところにほかのメスを置き、前代未聞、将来のために出産を見学させておくというのです。さらに研究員がツバキと同室に入り、産婆を務めます。別室のモニターで見守る所長らセンター員一同。まさに全員参加での出産がはじまりました。陣痛から5時間、赤ちゃんの頭がでかかったそのとき、ツバキは思いがけない行動に出ます。わらを噛んで食いしばり、不破さんの長靴を腹に押し当て、ヒトの助けを借りて出産します。元気な女の子。心配をよそにツバキはすぐに赤ちゃんをたぐりよせて抱き上げました。わらのベッドを作ってやろうと必死です。新しい家族にどよめく研究員。ワインで祝杯をあげ、名付け親を競ってホワイトボードに名前が連なります。しかし-。
安心したのも束の間でした。ツバキは赤ちゃんを太ももとおなかに強く挟んだまま放そうとしません。抱き方がわからないのです。圧迫され、授乳もできない赤ちゃん。研究員が入れ替わり立ち替わりツバキを説得します。あの手この手で赤ちゃんを乳房に近づけようと寝ずの試みが続きます。赤ちゃんに触らせまいとするツバキ。命を救おうとする研究員。ツバキの帰りを外で待つチンパンジーの間にも微妙にバランスが崩れはじめます。この状態のまま、丸2日がたとうとしていました。そして-。
一難去ってまた一難。チンパンジーを知り尽くした研究員が、ヒトの知識と感覚ではどうにも解決できない野生のメカニズムを目の当たりにして葛藤し、奮闘を続けます。そこから見えてくる「ヒトらしさ」とは?