2005年3月31日(木)


ボノボは約200万年前にコンゴ川で隔絶され、チンパンジーとは別の進化の路をたどりました。集団間でも個体間でも「宥和」行動によって種の繁栄と永続をめざしている、としか解釈できない生態が観察・報告され、あまりに対照的な「種」の戦略の違いに研究者が驚きました。人間存在を「性悪」説と「性善」説の葛藤から理解しようとすると、それぞれのDNAをチンパンジーとボノボに仮託できそうでした。

初期人類に最も近いと考えられるボノボは、人類の進化、家族の起源、性の意味を考えるとき、その研究は不可欠といえるものの、内乱などで現地調査は10年以上中断されました。

京大霊長類研究所のOB・OGが私財を投じて、現地の研究機関と連携し調査基地を守ってきました。国連平和維持軍やEU連合軍の手助けで、治安状況が改善しつつある中、研究者は10年近く継続的調査が中断した調査基地の再始動に向けて動き始めています。
番組では、ほぼ10年ぶりに現地を訪れた日本人研究者に同行取材し、文明と自然、その葛藤と危機、ボノボと日本人研究者のふれあい、それを取り巻く村人と生活を取り上げました。