若い世代「AYA」のがん患者の撮影会 写真で元気を届けたい…思いと笑顔にあふれた撮影に密着!

若い世代「AYA」のがん患者の撮影会 写真で元気を届けたい…思いと笑顔にあふれた撮影に密着!

20歳~39歳までのがんを経験したAYA世代(Adolescent and Young Adult)の患者を対象に振袖や袴姿での写真撮影会を行う、CANCER PHOTO+。

今年7月中旬、関西テレビは撮影会が行われる大阪市西区のCANCER PHOTO+の撮影スタジオを訪れました。

この日撮影をするのは、内藤英恵さん(39)。2人の子どもと一緒に臨みます。
【内藤英恵さん】
『乳がんが見つかって1年以上、治療をしていました。今は治療が終わったところです。今まではあんまり自分のことを考えていなくて、写真を撮るのも私がカメラマンで子供を撮ることが当たり前でした。自分を写真に残すのを意識したのは病気になってからで、自分の写真が少ないなと。がんと告知されてから『死』というのがよぎったこともあり、これをきっかけに自分の写真や生きている証を残してもいいのかなと」
若い世代「AYA」のがん患者の撮影会 写真で元気を届けたい…思いと笑顔にあふれた撮影に密着!
CANCER PHOTO+の撮影会には、着付けやヘアメイクなどのプロが集まっていますが、着付けやメイク、撮影はすべて無料で行っています。その費用を工面するため、今回ぷらす8゛でクラウドファンディングに挑戦して目標金額を超える58万円の寄付を集めました。寄付金は人件費などに充てられ、関西以外を含む10人以上のがんサバイバーへの撮影会を開くことができました。

そして迎えた撮影会当日。内藤さんはメイク中、少し緊張している様子でした。家族で選んだ振袖に着替えて、子どもたちと対面の時…。「お母さんきれい」、子どもたちが照れながらかけた言葉に、内藤さんにもやっと笑顔が見えました。

「内藤さん素敵!かわいい!」とCANCER PHOTO+のスタッフからの優しい言葉が飛び交う中、色んな角度から、そして背景や小道具を変えて、撮影は続きました。

スタッフの中で、ひと際スタジオに明るく響き渡る声がありました。今回撮影を担当する小西ゆかりさんです。小西さん自身もCANCER PHOTO+が開催する撮影会の参加者で、がんを経験していました。

【カメラマン・小西ゆかりさん】
「写真を撮ってもらったことで自分の心の整理というか、前に進む糧になったんです。次は伝える側になりたいなと思って、私が撮影してもらった受けた恩を返していきたいなと思いました』


小西さんは今回初めてカメラマンとして参加。思い思いに内藤さんの晴れ姿をカメラに収めていきます。

およそ1時間の撮影を終え、さっそくスタッフと内藤さん家族が一緒に確認していきます。

内藤さんは、振り袖姿の自身の写真や子どもたちとの写真を、子どもたちと笑いながら、時には優しい表情で見つめていました。

【内藤英恵さん】
「自分が中心で撮影されることがなかったので、とてもうれしかったです。これだけ人に褒められることもないですし、子供たちと一緒に撮影できたのもありがたかったです。前向きに生きていく上で、自分を写す機会って勇気がないとできないので、良いきっかけになりました。これからもぜひ続いてほしいと思います」


【CANCER PHOTO+代表・西尾菜美さん】
「無事に撮影会ができて、支援者の方には感謝しています。参加した患者がカメラマンとして参加したり、少しずつ広がりができたりしたことが一番うれしいです。大阪以外でもやってみたいなと思っています。そのためにはまた費用がかかりますが、コツコツ頑張っていきたいと思います」


つらい思いも、不安も経験した患者たち。撮影会では、スタジオ中に笑顔が広がっていました。クラウドファンディングでの支援によって、AYA世代のがん患者を後押しする機会を今年も続けることができました。