大阪市でビルから大学生が転落死し、中学生らが逮捕された事件で新たな事実です。 中学生らは架空の少女になりすまして、大学生を誘い出していたことが分かりました。
■架空の少女に…他にもなりすましアカウントを複数所持
14歳の女子中学生と15歳の男子中学生は2月、SNSで知り合った男子大学生(22)から現金を奪おうと脅し、ビルから転落させて死亡させた疑いがもたれています。 また、女子中学生の交際相手で当時13歳の男子中学生が、児童相談所に通告されました。
大学生が転落した直後の現場付近を撮影した防犯カメラには、当時13歳の男子中学生と女子中学生とみられる2人が映っていました。 警察によると、この当時13歳の男子中学生が事件を主導したとみられ、次のように供述しているということです。
【男子中学生(当時13歳)】「女子中学生と事前にお金を取る話をしていて、別の男子中学生に当日話すと、賛成してくれた」
男女交際に言いがかりをつけて金品を脅し取ろうとする、いわゆる「美人局(つつもたせ)」をしていたとみられる中学生ら。 その後の捜査で判明したのは、犯行の計画性でした。
捜査関係者によると、当時13歳の男子中学生は、SNS上で架空の「さき」という17歳の少女のアカウントを作り、大学生と「会いたい。ホテル代だけ持ってきて」などとやりとりしていたことが新たに判明。 さらに、少女には“怖い彼氏がいる”などと設定を作った上、役割を分担して犯行に及んでいたことも新たに分かりました。
男子中学生(当時13歳)は、女性になりすましたアカウントを他にも5つほど持っていたということです。 女子中学生は「これまでも複数回、お金を取るのに成功した」などと供述していて、警察は中学生らが「美人局」を繰り返していたとみて、捜査しています。
■「怖い彼氏がいる」などと設定
13~15歳の少年・少女らによる事件ですが、彼らの刑事責任はどうなるのでしょうか。 まず少女(14歳)と少年(15歳)については、事件が検察から家庭裁判所に送られ、家庭裁判所で2人について調査し、保護処分となれば、少年院や保護観察処分となります。 しかし、家庭裁判所が「刑罰を受けるべき」と判断した場合、逆送といって再度検察に事件が戻され、大人と同じ刑事裁判を受けることになります。
事件を主導したとされる当時13歳の少年については、犯行当時は14歳未満のため、原則、少年法によって刑事責任は問われません。 少年(当時13歳)は、現在は児童相談所に通告されていて、児童相談所が家庭裁判所に事件を送れば、先の2人と同じように少年の調査が行われますが、刑罰を受けることはないということです。
今、SNSを通じて少年犯罪は凶悪化しているのでしょうか?16年間に渡って京都府知事を務め、現在は大学教授である山田啓二教授に見解を聞きました。
【京都産業大学 法学部 山田啓二教授・理事】「結局、大人の世界で行われていることを子どもたちがコピーしてやっているだけなんです。ですから、われわれ(大人)自身が今、バーチャルな世界が広がっていく中で、そういう危険性に向き合っているんだということを自覚しないと。こういうことは子どもが悪いとかではなく、子どもは大人を見てやっているだけなので、それをどういう形で規制をしていくのか、または安全を確保していくのかということを考えていくのが大切だと思います」
まずは事件の全容解明が待たれます。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月12日放送)