【台湾幹部に聞く】 習近平主席の演説に「憤りを感じる」 武力行使への言及に危機感 中国は「威嚇を強めている」 日本と台湾の連携の必要を強調 台北駐大阪経済文化弁事処 向明徳処長単独インタビュー 2022年10月17日
10月16日に開幕した「中国共産党大会」。習近平国家主席は演説で、アメリカとの距離を縮める台湾を「武力行使を放棄することはない」と強くけん制しました。
この発言は、台湾にどう受け止められたのでしょうか。大阪に駐在し実質的な総領事にあたる、台湾の幹部・向明徳処長に話を聞きました。
【台北駐大阪経済文化弁事処 向明徳処長】
「さらに憤りを感じております。台湾に対する脅威、威嚇を強めていると認識しております」
前回(2017年)の共産党大会で「平和的統一を目指し、一国二制度を堅持する」と話した習主席が、今回は武力行使にも言及したことに、向処長は強い危機感を持っています。
その理由の1つは、香港で起きた弾圧です。中国は「一国二制度」で香港の自治を認めていましたが、強行的に弾圧し、制度は形骸化しました。
【向処長】
「今、台湾の国民は一国二制度は、もうはっきり嘘だと認識しております」
――Q:そのまま一国二制度に従っていったら?
「香港と同じ運命になります」
そして、向処長が危機感を持つ2つ目の理由が、ロシアによるウクライナ侵攻です。
【向処長】
「戦争を防ぐのは何よりも抑止力ですね。抑止力がないとウクライナと同じ運命になって中国に侵攻されます」
向処長は、台湾の有事の際には日本も「ひとごと」ではないとして、戦争への抑止力を強めるために、日本と台湾が協力するための法整備などをして連携を強化することが必要だと話しました。
【向処長】
「日本と台湾の間で一番近い距離は与那国島、110キロしか離れてない。いざもし台湾における戦争が起こったら、日本も危ないと考えております。安全保障について、アメリカ、日本と手を組んで一緒に抑止力を強めていかなければなりません」
(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月17日放送)