売春のうしろめたさ、金銭面、「自分が殺した」と思われたくない気持ち… 赤ちゃん遺棄の罪に問われた女 起訴内容を全て認める 望まない妊娠で孤独を深める妊婦を救うには 2022年09月12日
大阪・ミナミの駐車場で、赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われた女の裁判が始まり、検察側は、懲役1年6カ月を求刑しました。
起訴状などによると、住所不定・無職の吉田絵里佳被告(28)は、2022年6月に大阪市中央区日本橋のコインパーキングで、自分の赤ちゃんの遺体を紙袋に入れて遺棄した罪に問われています。
9月12日午後4時から始まった裁判で、吉田被告は起訴内容を全て認めました。
被告人質問で吉田被告は、今回の犯行に至る経緯について語りました。
吉田被告は北海道で暮らしていましたが、実家の金を使ったことで母親とけんかになり、およそ2年前に大阪に来たということです。売春などで生活費を稼いでいましたが、2021年の夏ごろに妊娠。金銭的に厳しかったことや売春の後ろめたさから、病院を受診しませんでした。
そして、2022年4月にホテルの一室で出産しましたが、泣き声を上げず動かなかったことから死んでいると思い、ビニール袋に入れるなどして、発見される6月まで持ち歩いていたということです。
検察側は「実家を飛び出し展望のない生活を送っていたことが原因」と指摘し、「悪質な犯行で酌量の余地はない」として懲役1年6カ月を求刑しました。弁護側は「妊娠の原因は売春の客が避妊しなかったことで、出産後の行動は望まない妊娠が前提だ」として執行猶予付きの判決を求めました。
被告は裁判の最後に「亡くなった赤ちゃんに申し訳ない。毎日供養したいという気持ち」と話しました。判決は、9月26日に言い渡されます。
金銭的に厳しかったことや売春の後ろめたさから、病院を受診せずに出産してしまったという吉田被告。自分が殺したと思われたくなくて警察や病院に行けなかったとも語っています。
相談できる人が周りにおらず、孤独を深めた妊婦が赤ちゃんを遺棄してしまうという痛ましい事件は、今回に限ったことではありません。2022年9月には、和歌山県白浜町でも生後間もない男の子が遺棄されていました。
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(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月12日放送)