維新・代表選巡る『血みどろの争い』 松井代表が実質、馬場議員を後継指名 さらに「冷や飯を食う覚悟で」発言も 議員と“同じ重さの1票”を持つ一般党員約2万人の選択は 2022年08月15日
松井一郎代表の後任を選ぶ日本維新の会の代表選が14日に告示され、国会議員3人が立候補しました。
日本維新の会にとって初めての代表選になりますが、そこには「創設者」である松井一郎代表の“思惑”が見え隠れしています。
【足立康史 衆院議員】
「私たちが大阪でやってきたことを、国会でもその通りやればいいんです。簡単な話です」
【馬場伸幸 衆院議員】
「青臭いかも分かりませんけれども、納税者の皆さんが納得のできる政治、夢や希望を持っていただける政治を実現していきたい」
【梅村みずほ 参院議員】
「カリスマに依存してはなりません。今こそ挑戦を選んでいただきたい。そのために私、何をするか、“維新を維新”する」
14日に告示された「日本維新の会」の代表選。
名乗りを上げたのは、届け出順に足立康史衆院議員(56)、馬場伸幸衆院議員(57)、梅村みずほ参院議員(43)の3人です。
維新の結党以来、初となる今回の代表選には、ある特徴があります。
国会議員や地方議員などおよそ600人の特別党員と、およそ2万人の一般党員それぞれに同じ1票が与えられる“格差”のない選挙なのです。
“橋下・松井体制”に代わる次世代のリーダー誕生に、一般党員もさぞや期待を寄せているはず、と思いきや…
【一般党員】
「出来レースっぽいなっていうイメージがあって」
「維新っぽくないなって思いました」
「ほぼ、結果は出てるのかなと思うんです。馬場さんが自分で覚悟をして代表になると。あの人がなるためのセレモニーやと僕は思うんです」
選挙戦が始まったばかりにも関わらず、早くも馬場議員が優勢の声が。
背景には、松井代表の“思惑”があります。
7月、自身の後任について問われた松井一郎代表は…
【松井一郎代表】(7月13日)
「僕が名前も知らない地方議員でも、『我こそは!』という人は。そういう人が出てきてもらいたいなと。日本維新の会の代表の後継指名しません。『誰を』ということもないし、『誰だから駄目』とかも言いません」
活発な代表選に期待し、「後継指名はしない」としていた松井代表ですが、大阪府議を中心に支持を集める東徹参院議員が出馬を表明すると…
【松井代表】(8月4日)
「僕を引き継ぐ次の代表としては、馬場議員を応援したい」
一転して、馬場議員の支持を表明。
党内からは“事実上の後継指名”との声も上がりました。
さらに、松井代表は立候補を表明していた他の議員に対しても…
【松井代表】(8月4日)
「“東色”っていうのは何を出すのか。そこはちょっとよく分からないところはあります。もっと分からんのは足立議員とか。あともう1人いたけど…え?(Q:梅村議員?)あっそうそう。分からん」
――Q:代表選で負けた人の処遇は?
「自民党は戦うときは冷や飯覚悟でやってますよ。維新の会もそっち側でやってもらいたい」
負けたら“冷や飯を食う覚悟でやれ”と、けん制しました。
この翌日、東議員は出馬を断念しました。
【東参院議員】(8月5日)
「やっぱり松井さんのことは『親分』だという思いを持っている大阪の議員って多いと思いますよ。その『親分』が(馬場議員支持と)言ってる中で、僕を応援するというのもまた、なかなかしんどい状況になるのかなと」
――Q:親分には言いづらい?
【東参院議員】
「言いづらいね、言いづらいよね。なかなかね、聞いてくれへんし」
――Q:開かれた政党ですか?
「ふふふ…開かれた政党て。開かれた政党ですよ、開かれた政党です」
一方、「冷や飯」覚悟で出馬したのが…
【梅村参院議員】
「自分が真心で人付き合いしてたら、冷や飯に明太子乗っけてくれる人もおるやろうし、お昆布乗せてくれる人もおるやろうし。おいしい冷や飯食べたらいいと思ってるから。今、私を支えてくださってる方々に言ってるのは、『寄り添って、おいしい冷や飯食べようや』って」
3人の中で、最も早く立候補の意思を表明していた梅村みずほ議員。
そこに立ちはだかったのは、「推薦人30人の壁」です。
代表選に立候補するには、議員など特別党員30人の推薦が必要ですが…
【梅村参院議員】
「中盤から1人また1人と、推薦人になれないという事情の者が出てきて。このリングに上がるまでというのが、松井代表の言う『血みどろの権力闘争』の一山であったと思っております」
7月28日、代表選について「戦だから、やるかやられるか真剣勝負。もっと『血みどろの争い』をやれよと思います」と言っていた松井代表。
「血みどろの争い」と言われるように、推薦人集めにもさまざまな力が働いたようで…
【梅村議員の推薦人 田中豊一 熊取町議】
「(市町の支部の)役員の方で、『誰々を推したい』という声もあったが、私はすでにその段階では梅村候補の推薦人になると話していたので」
そうした中、梅村議員の推薦人を途中で断念した議員もいます。
【梅村議員の推薦人を断念した議員】
「『冷や飯を食う覚悟』という話になってくると、自分も守るべきもの、自分の地域だったりがあるので。維新の会で立候補するにあたり世話になった方がから『(梅村議員の推薦人を)辞めてほしい』というお願いをされると、やはり諦めざるを得ない」
結局、当初40人以上いた推薦人のうち10人以上が降りてしまい、30人ギリギリを集めてなんとか立候補を果たした梅村議員。
足立議員も39人の推薦人を集めました。
一方、馬場議員の推薦人は、なんと条件の10倍にあたる306人。
およそ600人いる特別党員の半数が、馬場議員の推薦人となったのです。
現在の代表の“思惑”もあり、馬場議員が圧倒的に優勢との見方が出ている中、2万人の一般党員はどのように今回の選挙を捉えているのでしょうか。
【一般党員】
「馬場さんが勝つ可能性が極めて高いとは思っています。維新内部でもまだ改革すべきところがあるのかなと思って、その改革ができるのはこれまでも幹事長、共同代表としてやってきた馬場さん…“ではない方”が改革に適任なのかと」
「何が起きるか分からないというのが本音です。特別党員はたくさん馬場共同代表に支持表明されてますけど、僕自身は議員さんから『この人を』と言われたことないので。(議員から支持の)依頼があったときには話は聞くが、申し訳ないが説教させてもらいます。『党員投票なので我々が自由に選んでいいんじゃないんですか』って」
【一般党員】
「足立さんはなかなかシステマティックに考えてはるんでいいかなと思うし、梅村さんは日に日にたくましくなってるのを今日も如実に感じるので捨てがたいし、馬場さんは安定してるしというところで、悩ましいです。(投票先は)まだニュートラルにしてます。1票ってしれてるけど、1票入れることで自分がこれからどう維新と関わっていくかの指針かなと思う」
特別党員と同じ重さの1票を持つ一般党員は、どのような選択をするのでしょうか。
投開票は8月27日です。
(「報道ランナー」2022年8月15日放送・関西テレビ行政担当記者 井上真一、松浦武司、菊谷雅美、竹中美穂)