ドローン利用の電測システムの開発に成功
災害時にも活用可能に

2020年10月5日(月)

関西テレビはこのたび、ドローンを利用した地上デジタル放送用の電波測定システムを開発し、テレビ中継局の電波放射パターン(アンテナから電波が発射される方位と強さのグラフ)の測定に、国内で初めて成功しました。電波の放射パターンはアンテナを製造後に工場で測定されますが、従来は鉄塔に設置後はこのデータを基に電測車で電界強度をフィールド測定することにより、放射パターンの通りに電波が発射されていることを確認するしかありませんでしたが、今回、ドローンに新たに開発した小型の電測ユニットを装着し、アンテナの周囲を自動的に旋回することで水平方向の電波放射パターンを短時間に測定できることを確認しました。
当社は2017年から本開発を行なってきました。これまでは撮影用のドローンにミニPCと電波測定器を搭載し、飛行後に地上でドローンの航路軌跡と測定値をそれぞれ取得してPCで計算していたため、電波放射パターンの取得に時間を要していました。今回開発したシステムでは、通常はカメラを接続する通信ポートに、PCと電測器で構成される電測ユニットを接続、飛行中にドローンから得たGPSデータ(飛行位置及び時刻)と電測器から得た電界強度(電波の強さ)を無線LAN経由で地上のタブレットに伝送することで測定者は簡単なメニュー操作により、飛行直後に電波放射パターンを確認出来ます。検証フライトでは複数の中継局でドローンのカメラによる目視点検と同時に水平方向の電波放射パターンを測定し、本システムの実用性を確認しました。
今後はアンテナの更新工事の前後や、地震や落雷によるアンテナ設備の損傷時に電波放射パターンを確認するなど、日常点検だけでなく災害時の迅速な放送の復旧に寄与することを目指します。
協力会社
日本エレクトロニツクシステムズ株式会社
株式会社JDRONE、株式会社日本サーキット
株式会社 SkyShotWorld
電測用ドローンの仕様
使用ドローン:DJI製Matrice210RTK
電測ユニット:独自開発
電測ソフトウエア:独自開発(関西テレビソフトウェア(株))
測定頻度:方位角1度ごとに1回以上
測定時間:10分以内