兵庫県の斎藤知事は「公益通報者保護制度」に関する研修を受けた上でも、告発文をめぐる一連の対応は「適切だった」との認識を改めて示しました。
斎藤知事は12日、県の部局から実施を求められていたハラスメント防止に関する研修とともに、公益通報者保護制度に関しての研修を受講しました。
知事に対するパワハラ疑惑などを告発した文書について調査した第三者委員会は、文書は公益通報の「外部通報」にあたり、告発した元県民局長を懲戒処分するなどした県の対応は「違法」と指摘していました。
斎藤知事は、告発者の保護は県への「内部通報」に限定される考えもあると述べていましたが、公益通報者保護法を所管する消費者庁から、「公式見解と異なる」と指摘を受けていました。
■告発は「外部通報」と認定されるも 知事「対応は適切だった」認識変えず
12日に行われた、知事や幹部職員への公益通報者保護に関する特別研修でも専門家は第三者委員会や消費者庁と同じ見解を解説しましたが、斎藤知事は終了後の取材で、認識を変えませんでした。
(Q.外部通報についての取り扱いも強調されたかと思うんですが、それを踏まえて、告発文書問題の対応に問題なかったというふうにお考えでしょうか?)
【斎藤知事】「そうですね。これまで会見等で述べさしていただいた通り、県の対応としては適切だったというふうに考えてます」
■共同通信社・太田氏「公益通報した人はやっぱり守られなきゃいけない」
これについて、共同通信社の太田昌克編集委員は、「公益通報は、権力を持った人間が間違った際に、チェックする権限を与えているもので、通報した人は守られるべきだ」と改めて述べました。
【共同通信社の太田昌克編集委員】「この公益通報者保護制度の問題は民主主義とか政治の根幹に関わる話なんですよね。そもそも『公益通報者制度』っていうのは権力を持っている者が間違うかもしれないんだと。人間ですからね。だから市民にチェックする権限を与えて公益通報するんです。 公益通報した人はやっぱり守られなきゃいけない。単に『怪文書だ』って言って、懲戒するんじゃなくて。それが国民の生命・身体・財産・利益を保護するための法令遵守につながるって、公益通報者保護法・第1条に書いてあるんですよね。 見解が知事は違うのかもしれないんですけども、私はやっぱり、県民の命、財産生命預かるものとして、民主主義の要諦に立ち返って欲しい。 何のために政治を志しておられるのか。今日の研修、効果がなかったかもしれませんが、斎藤知事、もう1回やっぱり県民の声にしっかり耳を澄まして欲しいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2025年5月12日放送)