全国的に危険な暑さが続く中、救急外来には連日、熱中症患者が運ばれています。現場を取材すると、本人が熱中症だと気付かないうちに一気に体調が悪化する実態が見えてきました。
大阪市北区の北野病院。救急外来には、熱中症とみられる人が次々に運ばれてきます。 運ばれてきた80代の男性は、外出した時になかなかタクシーがつかまらず体調に異変が。しかし、熱中症だとは気が付いていませんでした。
【80代の男性】
「30分ぐらい歩いていたんですけど、そのうちに足が前に出ないようになりまして。本人としては熱中症という気持ちはないんですけど、自分の足腰が弱っているから前に行かんのかなって思って」
熱中症に気づかない、このようなケースが少なくないと医師は指摘します。
【北野病院救急科 王徳雄医師】
「様子がおかしいとか体調不良を感じたときに、実はすでに熱中症を発症している可能性があります。基本的に高温多湿の環境で、めまいとか倦怠感がある体調不良を感じた瞬間に、熱中症の可能性があります」
また、対策をしているにもかかわらず、熱中症になる人も多いようです。 正午ごろ搬送されてきた50代の男性は、看護師に次のように症状を説明しました。
看護師 「めまいが先にしてきて?」
男性 「吐いちゃった」
看護師 「吐いたの何回ですか?」
男性 「5~6回です」
屋外で仕事をしている時に、嘔吐や足がつるといった症状が現れたといいます。
看護師 「どれくらい取ってました、水分?」
男性 「結構飲んでた。500ミリのペットボトル5~6本は飲んでる」
水分は取っていたものの、朝から何も食べていなかったということです。
別の患者は、外出先から帰って、自宅を目の前にして倒れてしまったといいます。この70代の女性、外出時間は1時間程度、日傘をさし、水分も摂っていたものの、吐き気がするなど、気分が悪くなりました。
【70代の女性】
「ちょっと寝られなくって2~3時間しか寝てないんです。無理して行ったらこんな状態になちゃった」
寝不足、食事ができないといったさまざまな理由で「弱った身体」は熱中症のリスクを高めます。暑さは、まだしばらく続きそうです。身を守るため、より一層の警戒が必要です。
(関西テレビ「newsランナー」2023年8月3日放送)