安倍元首相が、応援演説中に銃撃されるという事件から1週間。
15日、山上徹也容疑者(41)の父方の伯父が、山上容疑者の家族や、母親がのめり込んだという旧統一教会との関係について、2時間近くにわたり語りました。
【伯父】
「極めて頭脳明晰(めいせき)、おやじそっくりです」
――Q:性格面については?
「抜群でしたよね、私に対しては。旧統一協会によって、人生がめちゃくちゃになったと」
7月8日午前11時半ごろ。2回の銃声が響いた後、その場に倒れこんだ安倍元首相は、およそ5時間半後、病院で息を引き取りました。
その場で取り押さえられ、逮捕された無職の山上徹也容疑者(41)。
学生時代を知る人たちは、口をそろえて“真面目だった”と語ります。
【中学時代の同級生】
「まず賢い。真面目。不平不満も言わず、運動も勉強も平均以上にできる」(バスケットボール部の)レギュラーでスタメン。できる方のグループにいたし、天狗(てんぐ)になるようなことはない。控えめ」
【高校時代の教師】
「3年間、生徒指導的な問題を起こしたとかは聞いていない。1年生の時、何にもない、おとなしい子だったと聞いてます」
そんな人物がなぜ犯行に及んだのか?
<山上容疑者の供述>
「20、30年前から旧統一教会に恨みを持っていた」
山上容疑者の伯父によると、生活が一変したのは、母親が宗教団体「世界平和統一家庭連合=旧統一教会」に入信してからだといいます。
【伯父】
「(母親の)教会入会の時期、平成3年です。入会とほぼ同時に2000万円献金。死亡保険金と不動産で総計1億円なんですよね。『霊を慰めるため』と旧統一教会が言っているわけですよ」
山上容疑者が4歳のころ、父親が自殺。
その後、山上容疑者の兄に小児がんが見つかるなどしたことがきっかけで、母親は旧統一教会に入会したといいます。
山上容疑者が小学生の時でした。
母親は父親の死亡保険金や親族から相続した土地などを売って得た資金を元に、少なくとも1億円を献金していました。
【伯父】
「ギリギリの生活かな。母親もほとんど(教会の活動で)韓国行ったりしてね。お父さんを亡くしてすぐ後かな、(山上容疑者の兄から)食べるものがないとSOSがきたんですよ。私と妻がびっくりして飛んで行って、お金とお寿司かなんかを渡した。まあ喜んで食べとったなあ。その後からお金以外に缶詰を一緒に送るようにした」
母親が旧統一教会にのめりこんでいく中、山上容疑者とそのきょうだいの生活は困窮していきます。
母親は入信してからおよそ10年後、ついに破産しますが、その後も献金は続いていたということです。
2002年に、海上自衛隊に入隊した山上容疑者。
ほどなくして伯父のもとに、衝撃的な一報が入ります。
【伯父】
「平成17年1月に徹也が自殺未遂をしている。これを実行した理由ですけども、教会によって兄と妹が生活困窮しているわけですよね、そこに死亡保険金を渡す。旧統一教会によって人生がめちゃめちゃになったと(自衛隊の報告書に)書いてありましたね。兄も妹もめちゃくちゃになっているんで自分の命を…という感じですね。(母親に)すぐ連絡したけど、所在が分からなかった。旧統一教会に連絡したら(40日間の修行で)韓国にいて、その40日が終わるまで帰って来なかった」
<山上容疑者の供述>
「母親が多額の寄付をして家庭生活がめちゃくちゃになった。絶対成敗しないといけないと思った」
日に日に増していった教会への“恨み”。
山上容疑者は、次第に行動に移すようになります。
<山上容疑者の供述>
「数年前に総裁が韓国から来日した際には、火炎瓶を用意して愛知県の会場を訪れたが、中に入れず何もできなかった」
計画は失敗に終わり、時間だけが過ぎていきました。
そんな中、2021年9月に、ある動画が公開されました。
安倍元首相が旧統一教会の友好団体に寄せたビデオメッセージです。
山上容疑者は「安倍元首相が旧統一教会に寄せたビデオメッセージを見て関係があると思った」「去年の秋くらいには安倍元首相の殺害を考えた」と供述。
銃の試作や試し撃ちを繰り返し計画的に犯行を準備していったとみられます。
<山上容疑者の供述>
「7月中には金がなくなる。もう死ぬしかないと思い、このまま何もせずに終わるわけにはいかないと思った」
山上容疑者の伯父は「やったことに弁護するつもりは全くない」と話しています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月15日放送)