その瞬間、競技場に大歓声が…
【2016年・大阪国際女子マラソン】
心に残る思い出の実況や名シーンをお届けします。
“福士加代子”が教えてくれた「実況の極意」
私が振り返る大阪国際女子マラソン、想いでの実況は2016年の福士加代子選手です。
このレースは2016年、リオオリンピックの選考レースでした。
最後はご自身が「バンビのようになった」と話していたように、転びながら転びながら、それでも最後までゴールを目指した、あのシーンが一番皆さんの印象に残っていると思います。
その瞬間のスタジアムの雰囲気というのが今でも忘れられません。
その瞬間、競技場を包んだ「大歓声」
『これまでになかったような大歓声がこの福士を包んでいます。
三度目の選考レース、ついに福士がトップでこのスタジアムに戻ってきました。』
『集大成、今日は元気に笑顔でフィニッシュしたい、そう話していた福士、さぁお父さんももう涙です。願えば叶うとウインドブレーカー、その応援団もこの日が来るのを待ちかねていました。』
『あと100m、待ち受ける…あぁここで!16年越しの想い、永山監督が声をかけます!
永山監督が並走!共に、共にこの16年間、福士と歩んできたこの永山監督の想いです。』
これがリオに向けたフィニッシュテープ!』
『ガッツポーズの福士、そして永山監督、やったという言葉です。』
これが真の一等賞です!』
あえてマイクをオフに…「黙る実況」
そんな中、とうとう福士選手がペースメーカーが抜けてからもぶっちぎりのペースで、この長居に向かって来る。
その瞬間に自分はマイクのスイッチをいったん戻しました。
そしてそれからゆっくり上げてその大歓声を皆さんに聞かせようと思ったんです。
実況というのは「あえて黙ること」も必要なんだなぁというのを知った大会だったと思います。