「勝負に対する気持ち」植え付けられた ミスターセレッソ森島寛晃氏が語る松木安太郎監督との秘話

水曜はJ!

2025.10.23(木)

「勝負に対する気持ち」植え付けられた ミスターセレッソ森島寛晃氏が語る松木安太郎監督との秘話
セレッソ大阪のレジェンドであり、現セレッソ大阪会長の森島寛晃氏が、1998年シーズンに監督としてタッグを組んだ松木安太郎氏とのエピソードを語った。Jリーグ連覇を達成した名将の就任は驚きをもって迎えられ、森島氏にとってはプロ意識と責任感が芽生える転機となったという。
突然の「キャプテン指名」と「勝手な登録」
松木氏がセレッソ大阪の監督に就任した1998年のシーズン前、キャプテンに指名されたものの固辞した森島氏。しかし、いざシーズンが始まってみると、森島氏は断ったにもかかわらずキャプテンに登録されていたという。
この“勝手に登録”されたことが森島氏のプロ意識に火をつける。
責任感が芽生え、開幕から7試合連続ゴールという快進撃。同年開催されたフランスW杯のメンバーにも選出された。「松木さんにも感謝の気持ちしかない」と、自身を引き出してくれた監督への感謝を述べた。
厳しさと熱さで「勝負の気持ち」を植え付け
松木監督のもとで、チームには「厳しさ」や「勝負に対する気持ち」が植え付けられたと森島氏は証言する。ハーフタイムには、意見がぶつかり合い「乱闘になりそうなぐらい」の熱い議論が交わされることもあったという。特に印象的だったのは、松木氏が常に「チーム」という言葉を口にしていたことだという。森島氏は、松木監督が「勝つチームになっていくために、大事なところ」を熱く語り、チームを引っ張っていったと振り返る。
チーミって!?松木氏が発していた謎の言葉
ただこの時、松木監督は、熱くなってくるとチームのことを「チーミ」と言い出すことがしばしばあった。森島氏はこのことがずっと気になっていたそうだ。実は「チーミ」とはポルトガル語で、英語の「チーム」のこと。松木氏は「当時ブラジル人コーチとも仕事をしていたから、彼らにも分かるようにたまに使っていた言葉が、気になったのかもしれない」と説明し、さらに「もうちょっと大事なこと言ってたんだけど…」と笑わせた。ただ、それに影響されたのか、森島氏も現役時代はポルトガル語で感情表現をしていたと明かした。
忘れられない「9-1大敗」
1998年ジュビロ磐田に1-9というJリーグ史上まれに見る大敗を喫した試合についても言及。森島氏は「気持ちの部分は本当に戦っている選手たちも下を向いてしまう」状況だったが、キャプテンとして「絶対点を取ってやろうという気持ち。最後まで諦めない姿勢」でプレーし続けたという。
試合後は「ぶっちゃけ監督の顔を見られる状態じゃなかったと思います」と語った。しかし、負けるのが嫌いな監督だった松木氏が、気持ちを切り替えて次に向かう姿勢はぶれてなかったと、監督としてのプロフェッショナルな姿を評価した。
愛される秘訣は「キャラ」と「サポーター目線」
松木氏が広く愛される理由について問われると、森島氏はキャラと人柄を挙げた。試合のスイッチが入るときを除き、いつも笑顔で元気の良さがあり、誰からも愛される人柄だという。松木氏の解説については、「本当にサポーターの目線になって、サポーターがずっと声を大にして言いたいものを、テレビの画面を通じて声に出してくる」と、その一体感を生むスタイルに感心していると述べた。
最後に森島氏は「松木さんのおかげで、ワールドカップも行くことができました。ありがとうございます。ぜひあの松木さんのそのキャラで、また日本のサッカー界をどんどん引っ張っていってほしいと思います」と深い感謝のメッセージを送った。

新着アディショナルタイムズ一覧