展示構成
Ⅰ. 大ゴッホ展 夜のカフェテラス 展示作品
1.バルビゾン派、ハーグ派
1870年代に画商の社員としてパリやロンドンに勤務するなど、早くから絵画芸術に親しんでいたファン・ゴッホ。特に、1881年以降に本格的に画家を目指すようになると、農村生活を主題としたバルビゾン派の巨匠ジャン=フランソワ・ミレーの作品に強い憧れを抱きました。また、ヨーゼフ・イスラエルスなど当時ハーグで活躍している画家たちからも刺激を受けることになります。この章では、ファン・ゴッホが画家を目指す背景にあったバルビゾン派とハーグ派の作品を紹介します。

1854年、油彩/カンヴァス、46 x 56 cm
クレラー=ミュラー美術館

Photography by Rik Klein Gotink

1902年、油彩/カンヴァス、107.7×151.4cm
クレラー=ミュラー美術館

Photography by Rik Klein Gotink
2.オランダ時代
1881年、ファン・ゴッホはハーグ派の画家のひとりアントン・マウフェの指導のもと、油彩画と水彩画の手ほどきを受けます。一方で、当時の社会問題に深く関心を寄せたファン・ゴッホは、街の景観や労働に勤しむ人々などを主題に素描を繰り返すことで、画家としての技量を自ら培いました。1884年からはオランダ南部のニューネンで、農民たちと身近に接しながら、その実直な姿を題材に群像表現の大作に挑みます。この章ではハーグでの油彩画や素描、ニューネンでの習作群を展示し、経済的な苦境や周囲との軋轢をのりこえつつ模索を続けた、ファン・ゴッホの初期の創作をたどります。

1881年11月後半-12月半ば、油彩/カンヴァスに貼った紙、36.5×53.6cm
クレラー=ミュラー美術館

Photography by Rik Klein Gotink

1882年5月下旬、鉛筆、黒チョーク、黒インクのペンと筆、茶色の淡彩、不透明水彩、ひっかき傷、升目状の跡/簀の目紙、28.6×46.8 cm
クレラー=ミュラー美術館

Photography by Rik Klein Gotink

1884年11月-1885年5月、油彩/カンヴァス、44×36cm

Photography by Rik Klein Gotink
3.パリの画家とファン・ゴッホ
ファン・ゴッホが絵画芸術に関心を抱き始めた時代、すでにパリでは第1回印象派展が1874年に開かれるなど、新しい表現が台頭しはじめました。ファン・ゴッホは、すでに名声を得ていたモネ、ルノワール、ピサロなどを「大通りの印象派」、新印象派やポスト印象派の新進画家たちを「小路の印象派」と呼び、対比していました。彼がもっぱら交流があったのは後者ですが、前者の著名画家とともに前衛画家たちの組合設立を構想するなど、パリで触れた最新の絵画表現に大きな可能性を見出したのは確かです。この章では、モネ、ルノワール、ピサロに加えて、新印象派のリュスなど、1860年代から90年代のパリの画家たちの作品を紹介します。

1877年頃、油彩/カンヴァス、35.7×27.5 cm

Photography by Rik Klein Gotink

1874年、油彩/カンヴァス、50.2×65.5 cm

Photography by Rik Klein Gotink

1877年、油彩/カンヴァス、52.9×81.5 cm

Photography by Rik Klein Gotink

1887年頃、油彩/カンヴァス、46×65 cm

Photography by Rik Klein Gotink
4.パリ時代
1885年に父がなくなったことをきっかけに、ベルギーのアントワープを経て、パリに住む弟テオをたずねてやってきたのは1886年の2月。ファン・ゴッホは、風景画や、静物画、そして自画像で配色や筆致の試行を続けました。やがて、印象派や新印象派など、パリの前衛的な表現から触発されて、明るい色彩と闊達な筆致を駆使するとともに、他の画家には見られない独自の感覚も示すようになります。この章では、約2年間のパリ時代で劇的に変化した、ファン・ゴッホの絵画表現の変遷をたどります。

1886年4-5月、油彩/カンヴァス、38.1×61.1 cm

Photography by Rik Klein Gotink

1887年4-6月、油彩/厚紙、32.4×24cm

Photography by Rik Klein Gotink

1887年4-6月、油彩/カンヴァス、30.8×39.7cm

Photography by Rik Klein Gotink

1887年後半、油彩/カンヴァス、55×46cm

Photography by Rik Klein Gotink
5.アルル時代
1888年2月、ファン・ゴッホは南仏プロヴァンス地方のアルルを訪れます。都会での生活に疲弊を感じ、心機一転をはかる意図もあったようですが、春の訪れとともに、彼はこの地の澄み切った大気と鮮やかな色彩に魅了されます。その美しさを、浮世絵版画を通じて理想郷として憧れる「日本」そのものだと感じた彼は、アルルの自然を鮮烈な色彩対比で表現することに夢中で取り組みます。その中で、アルル時代の代表作のひとつである《夜のカフェテラス》をファン・ゴッホは描きあげることになります。

1888年3月、油彩/厚紙に貼ったカンヴァス、31.6×34.3cm

Photography by Rik Klein Gotink

1888年9月16日頃、油彩/カンヴァス、80.7×65.3cm

Photography by Rik Klein Gotink
Ⅱ. 大ゴッホ展 アルルの跳ね橋
2027年2月6日(土) ~5月30日(日)

1888年3月、油彩/カンヴァス、54×64cm

Photography by Rik Klein Gotink

1890年5月、油彩/カンヴァス、90.6×72cm

Photography by Rik Klein Gotink
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