森友学園に関する公文書の改ざんを指示され、自殺した財務省職員の妻が、文書の開示を求めている裁判。「捜査への支障」を理由にゼロ回答を続ける国の主張を、“捜査のプロ”が真っ向から否定しました。
【赤木俊夫さんの妻・雅子さん 27日】「明日が誕生日なんですよ、夫のね。本当だったら、61歳になれたのに。そう思いながら過ごしています」
■公文書を改ざんで大阪地検特捜部が捜査
学校法人「森友学園」に関する公文書の改ざんを指示され、うつ病を発症して自殺した財務省近畿財務局の職員・赤木俊夫さん(当時54)。なぜ、夫は自ら命を絶たなければならなかったのか。それを知るために妻の雅子さんは、国に対し、大阪地検特捜部に提出された資料の開示を求めています。
財務省と近畿財務局は当時、豊中市の国有地を8億円以上値引きして森友学園に売却した問題と、関連する公文書を改ざんした問題について、大阪地検特捜部から捜査を受けていました。
■改ざんのプロセスが分かる可能性ある資料 国は「ゼロ回答」
この捜査の過程で任意提出したとみられる書類やデータには、財務省の幹部らがどのようなプロセスを経て、公文書の改ざんを決め、赤木さんに指示を出したのかが記録されている可能性もあります。
そのため、雅子さんは財務省と近畿財務局に対し、特捜部に提出した資料の開示を求めましたが、「あるかないかも答えない」という“ゼロ回答”だったため、この決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴。
しかし、去年「文書を公開すれば捜査の手法などが分かる恐れがあり、将来の捜査に支障が及ぶ恐れもないとは言えない」などと棄却されたため、雅子さんが控訴していました。
■「捜査のプロ」の証言を得て反論
控訴審2回目の弁論となった27日、雅子さんの弁護団は捜査のプロフェッショナルの証言を得て、国の主張に真っ向から反論しました。
弁護団が“証言”を依頼したのは、元検事で、東京地検特捜部での捜査経験もある郷原信郎弁護士です。
■「将来の捜査の手法や内容が推知されることは全くない」
郷原弁護士は書面で「行政機関の事件の捜査では関連する資料を洗いざらい提出させることが一般的で、捜査の方針は検察官によって異なる」「検察が任意提出を求めた文書についての情報が明らかになることで、将来の捜査の手法や内容が推知されることは全くなく、証拠隠滅のおそれを捜査機関側が懸念することもない」と指摘し、国側の主張を真っ向から否定しました。
この主張に対し、国の代理人は、次回の弁論で反論すると述べました。
赤木俊夫さんの妻・雅子さん閉廷後取材に応じ、「出したくない理由をいろいろ探して来たら、『将来の捜査に関わる』という言葉を使っていると思うけど、子どもが聞いてもへ理屈だと思います」と話しました。
次回の弁論は6月に開かれる予定です。