■JR福知山線脱線事故から19年
兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故から、25日で19年です。 事故現場では、追悼慰霊式が行われました。
【車内アナウンス】「本日で福知山線列車事故から19年を迎えます。お亡くなりになられたお客様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様、けがをされた方々、ご家族の皆様に深くお詫び申し上げます」
午前9時18分ごろ、事故現場となったカーブを、スピードを落とし通過する電車。
あの日も、通勤や通学で多くの人が乗っていた電車は、いつも通りこの場所を通過するはずでした。
2005年4月25日、午前9時18分。兵庫県尼崎市で、JR福知山線の快速列車が、制限速度を40キロ以上もオーバーして脱線し、マンションに衝突。
乗客106人と運転士が死亡、562人が重軽傷を負いました。
■事故現場で遺族や負傷者が祈りを捧ぐ 犠牲者の苦しみは終わらない
25日朝、事故現場では多くの遺族やけがをした人などが祈りを捧げました。
【妻を亡くした中村重男さん】「あつかったやろ、しんどかったやろという思いを毎年。今年は、息子もだんだん一緒に仕事して、元気に頑張っているよと」
今も後遺症に苦しむ人もいます。
【負傷者・玉置富美子さん】「心と体の苦しみの19年間です。思うように事が運ばない。体が悪いし。手を合わせて、今後もよろしく力をお与えくださいと」
■企業に刑事責任を問う「組織罰」の実現訴え、遺族が署名活動
25日も、現場近くで署名活動を行った遺族がいました。
事故で長女を亡くした大森重美さんは、企業に刑事責任を問う「組織罰」の実現を訴え続けています。
この事故では、歴代の社長4人が、業務上過失致死傷の罪に問われたものの、いずれも無罪に。さらに日本の刑法では、事故を起こした企業そのものを処罰できず、遺族らは企業の責任を問うための法整備を求めています。
【事故で長女を亡くした大森重美さん】「JRも色々(対策を)やってると思います。ただちょこちょこ事故起きてますよね、凍結で(設備が)作動しなかったとか」 「組織罰があれば1つの注意喚起の手段にはなる」
■追悼慰霊式でJR西日本長谷川社長が謝罪するも、、既に7割の社員が事故後の入社
現場のマンションに建てられた「祈りの杜」で行われた慰霊式には、およそ300人が参列し、JR西日本の長谷川社長が、遺族や負傷者に謝罪しました。
【JR西日本長谷川一明社長】「私どもは、尊い人命をお預かりする企業としての責任を、果たしていなかったことを深く反省し、事故の事実や悲惨さ命の大切さを心に刻み、重い反省と教訓にねざした安全の取り組みを進めております」
7割の社員が事故後の入社となったJR西日本。遺族・負傷者の終わらない苦しみと安全にどう向き合っていくかが問われています。